
昨年の衆院選以降、「年収103万円の壁」見直しを巡って与野党で議論が繰り広げられた。紆余曲折あったが、「結局、今年の所得減税ってどうなったの?」というのが皆さんの一番知りたいことだろう。今回は、昨年の定額減税とも比較しながら、今年の減税額がどうなるのかについて見ていこう。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
結局、今年の減税ってどうなったの?
「わかりにくさ」は過去最高!
昨年11月頃から与野党間でもめている「年収103万円の壁」問題。12月末に2025年度税制改正大綱(新年度の税制案)が公表されたが、国民民主党は与党案に合意できないとし、年明けも与野党間で継続協議という異例の事態になった。
かれこれ5カ月近く話題を集めるこの問題は、結局どうなったのだろうか。そもそも「年収103万円の壁」は何を意味するのだろうか。最新情報をもとに解説しよう。もちろん、みなさんが一番知りたい「自分の減税額」の試算もご覧いただきたい。
まず、手取りに影響する税制改正を長年ウオッチしてきた筆者が言いたいのは、今回の減税はこれまで見たことがない複雑な仕組みであること。
わかりにくさは、過去最高だ。年末調整で社員に所得税還付をしなくてならない人事部の給与担当者が気の毒でならない(システムで計算するのだろうが、仕組みは理解する必要がある)。
今回の減税の仕組みをわかりやすく解説することができるだろうかと、手取り計算好きの自称“手取りスト”の筆者ですら不安を覚えるほどの難度の高さだ。