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AIJ投資顧問事件、企業と個人への教訓

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第221回】 2012年2月29日
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うますぎる話の“罠”
AIJ投資顧問の2000億円損失

 主に年金資金を運用するAIJ投資顧問が、約2000億円の顧客運用資産の約9割を失っていたことが明るみに出た。

 事件発覚当時は、始めから意図的な詐欺だったのか、運用の途中で出た損失を隠した虚偽報告なのか、あるいはいきなり大きな損が出た運用失敗に止まる違法性のない事案なのかがはっきりしなかったが、その後の報道によると、かなり前から運用で損失が出ていたものを順調に運用ができているかのように偽って営業を続けていた、ということのようだ。

 資金の流れの全貌がまだ解明されていないので、単純な運用失敗と虚偽報告(金融商品取引法違反)の組み合わせなのか、たとえば資金の一部を関係者が着服していたというような追加的な犯罪を含むものなのかはわからないが、いずれにせよAIJ投資顧問が「悪い」ことには間違いがなさそうだ。

 AIJ投資顧問は、ファンドの私募投資信託の運用利回りについて2002年度に約35%、03~05年度に14~18%台、06年度以降には1ケタになるが5~9%になると謳っていた。

 低金利に加えて株価が低迷し、リーマンショックを伴った金融危機が起こったにもかかわらず、安定的な高利回りであり、これが本当なら文句のない高成績だが、実態は当然のことながらそうではなかった。それに、インチキをやるにしても、さすがに、これは「作りすぎ」だろう。

 資金の運用を任せる側は、(1)なぜこのような高利回り運用が可能になるのか理由が理解できるか、(2)本当に高利回りが実現していることを裏付ける証拠があるか、(3)これは虚偽報告ではないのか、(4)そもそも本当にこんなに上手く運用できるなら、他人のお金を運用していることが不自然ではないか、といった疑問を抱くべきだった。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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