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研究所“閉鎖”命令を機に起業を決意
目指すはグローバル創薬イノベーター
ラクオリア創薬社長 長久 厚

週刊ダイヤモンド編集部
【第181回】 2012年3月9日
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ラクオリア創薬社長 長久 厚
Photo by Nobuhiro Senda

 浮き沈みの激しいベンチャー企業。中でもハイリスク・ハイリターンとされるのが、創薬ビジネスだ。

 探し出した開発化合物が製品に結び付く確率は、文字通り、万に一つ。新薬が世に出るまでに、1000億円の研究開発費と10年以上の歳月が投じられる“ばくち”的な世界だ。

 創薬ベンチャーの苦境が続く中、長久厚が率いるラクオリア創薬(愛知県武豊町)は、昨年7月に上場を果たした数少ない有望株。新薬の種となる開発化合物を探し出し、ヒトへの有効性と安全性を調べるPOC(プルーフ・オブ・コンセプト)試験までが事業領域だ。

 「最低でも2年は帰るな。楽しんでこい」──。

 16歳の誕生日。長久が親愛を込めて「変人」と呼ぶ父親にそう見送られ、ただ1人、異国の地を踏んだ。英会話もできず、通う高校さえ決まっていないという「出たとこ勝負」の渡米は、長久の原点だ。

 父の言葉通り、高校時代は車とガールハントに明け暮れる若者を描いたジョージ・ルーカスの青春映画「アメリカン・グラフィティ」を地で行く生活だったという。だが、根っからのサイエンス好きが高じて、スティーブ・ジョブズが在籍したリード大学へ進学、マサチューセッツ工科大学で博士号を取得した。そして、「母が薬局を営んでいたこともあり、何となく決めた」のが、米国ファイザーへの入社だった。当時は、起業家になるとは夢にも思わなかった。

 今でこそ、起業家として国際業界誌「ファーマスーティカルエグゼクティブ」(2011年12月号)の表紙を飾り、起業家のワールドカップ「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011」の日本代表候補に選ばれるなど国内外で注目を浴びている。

 だが、07年3月の長久は、ニューヨーク・マンハッタンで現地特有の寒波にさらされていた。

 向かう先は、ファイザー本社。日本法人の、それも研究所の一所長にすぎない長久の渡米目的は、当時のファイザー会長、ジェフリー・キンドラーの決定を覆すという前代未聞の直談判だ。

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