
国内発のコンサルティングファーム、ベイカレントは急速な台頭を遂げてきた。足元で人員数は5000人を突破し、コンサルビッグ4超えも果たした。だが、あまりに急激な成長は組織や社内風土のひずみも顕在化させつつある。爆速成長の陰でベイカレントがはまった罠とは。長期連載『コンサル大解剖』内の特集『ベイカレント 爆速成長の罠』では、複数回にわたり、ベールに包まれてきたベイカレントの実像を浮き彫りにする。第2回は、ベイカレントのクライアント拡大戦略をひもといていくほか、ダイヤモンド編集部の独自取材で判明した、ベイカレントの超重要顧客29社の実名と最新序列を全公開する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
ベイカレントでファイザーバブル終焉
「超重要顧客29社」リストを独自入手
「ファイザーバブルは、もう終わったよ」。あるベイカレント関係者はそう打ち明ける――。
米製薬大手、ファイザーは、新型コロナウイルス禍で政府からの補助金なども受けて、ベイカレントに大量の案件を発注していた。その“バブル”ぶりはベイカレントの有価証券報告書から読み取れる。
2023年2月期のファイザーからの販売実績金額は91億2300万円で、総販売実績に占める比率は12.0%にも及んだ。24年2月期も販売実績金額は104億6800万円で、同11.1%と高水準を維持した。
ここ数年、最重要顧客だったファイザーだったが、25年2月期の有価証券報告書では、金額の記載は消えた。コロナ禍が収束し、ファイザーバブルが終焉を迎えたのだ。
爆速成長を遂げてきたベイカレント。有価証券報告書をたどると、その急成長を支えてきたベイカレントのクライアントの変遷が浮かび上がる。24年2月期までの有価証券報告書では、「売掛金及び契約資産」の上位5社の社名が開示されている。
17年2月期の上位5社は、NTTコミュニケーションズ、日興システムソリューションズ、リクルートコミュニケーションズ、凸版印刷、オリックス・システムだった。直近の24年2月期の上位5社には、ファイザーのほか、東京電力ホールディングスなど業界の最大手企業の名前が登場する。売掛金の金額も桁が増えており、年々顧客企業の「質」と「量」を高めてきたことが分かる。
今回、ダイヤモンド編集部は、ベイカレントが25年4月時点で超重要顧客と位置付ける29社の名前が記された内部資料のリストの中身を確認した。29社は取引規模などに応じて4つのランクに格付けされ、重要度合いが一目で分かる。顔触れは、銀行・証券・保険や商社、自動車、電機、エネルギー、運輸といった幅広い業界で、日本を代表する超大手企業がずらりと並ぶ。
次ページでは、29社の実名と格付けを明らかにするとともに、ベイカレントのクライアント拡大戦略をひもとく。実は、同社は新規顧客の開拓戦略として新機軸を打ち出しつつある。そのきっかけとなったのが、コンサル絶対王者のアクセンチュアというのだ。ベイカレントが打ち出した新機軸とは。一方で、クライアントの顔触れから浮かび上がる死角についても触れる。
