経営×総務
なぜ、「戦略総務」か?
【第20回】 2018年3月29日
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豊田健一 [『月刊総務』編集長]

「副業」が企業にもたらすメリット・デメリットとは

なぜ「副業」が必要か

 日本で進む、働き方改革。政府が進めようとしていた、働き方改革関連8法案は、いろいろな不手際によりまったく先が見えない。しかし、政府が何をしようと、法律がどう変わろうと、厳然たる事実は、日本の生産性が先進国の中で低いということである。

 保護主義的な動きはありつつも、グローバル化がますます進展している現在、競争相手が日本のみならず、さらに異業種という場合もある。政府が動くのを待つのではなく、自社のあるべき姿を描き、それに向かって、働き方を変えていかなければならない。

 ここに来て「働き方改革は第二章に突入」と言われており、そのテーマは「生産性」の向上だ。この「生産性向上」については、立正大学の吉川教授の表現が分かりやすい。

 「1時間あたりに作れるまんじゅうの数を増やすのが技術的な意味での生産性上昇。世の中の変化に合わせて売れるまんじゅうを新たに作り出すという生産性の上昇もある」

 前者が効率化の向上、後者が創造性の向上、つまりはイノベーションの創出である。

 日本経済新聞社が主催し、企業戦略や経営哲学、経営の最新トレンドについて経営者自ら議論する国際会議「世界経営者会議」でもほとんどの経営者がイノベーションの必要性を話していた。働き方改革のテーマ、生産性の向上は、このイノベーションの創出が最大の目的と言ってもいいだろう。

 一方、働き方改革は「多様性」が広く議論されるようにもなっている。多様な働き方、時間や場所にとらわれない働き方。あるいは、なんでもありの無限定社員だけでなく、地域限定、時間限定、職務限定の限定正社員。結果、多様な従業員が働くことになる。

 イノベーションとは多様性からとも言われ、多様なナレッジ、スキル、経験の組み合わせによりイノベーションが生まれる。とすれば、多様な働き方により、先に必要とされるイノベーションの可能性も高まることになる。多様な働き方ができることにより、優秀な社員も引き止めることもでき、また新たに採用できる。

 この多様な働き方の中に入ってくる、これまでの日本企業であまり議論されてこなかった新たなものが「副業」だ。副業についての詳細は後程記するとして、よく言われることは、副業をすることにより、その従業員の「自律性」が高まるということだ。起業などすれば、「修羅場」を経験することになり、スキルの向上とともに、自律性が育まれる。

 また副業とは、外との接点が当然のこと増えるので、社外のナレッジ、スキル、経験を社内に持ち込むことができる。世に言われるオープン・イノベーションである。この自律性が高まることにより、結果、社内のイノベーションの可能性を高めることに結び付く。

 つまり、働き方改革は生産性の向上により、イノベーションの創出をめざし、そのためには、働き方や従業員の多様性を確保することが必要であり、その多様性を確保することにより、自律性が高まり、結果、イノベーションの可能性が高まるのである。働き方改革においては、この3要素、「生産性」、「多様性」、「自律性」を意識するべきだろう。

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豊田健一 [『月刊総務』編集長]

【経歴】早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の取締役、事業部長兼編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。著書に『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター刊)『経営を強くする戦略総務』(同)など。

 


なぜ、「戦略総務」か?

総務を単なる「社内の縁の下の力持ち」ではなく、コア業務の担い手、つまり"戦略総務"にすることが、会社を変革するための重要な戦略となる――。なぜ今、戦略総務なのか。その必要性について考える。

「なぜ、「戦略総務」か?」

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