「甲子園出場選手の1/3が越境入学」に怒る理由はあるか?写真はイメージです

 現在甲子園球場では選抜高校野球の熱戦が繰り広げられているが、今から11年前の2007年春、高校野球界を揺るがす問題が起きたことをご存知だろうか。

 西武ライオンズが有望なアマチュア選手に対して高校時代に「栄養費」という名目で現金を渡していたことが発覚。そしてその選手の高校進学に対して、西武のスカウトが斡旋を行っていたことから日本高等学校野球連盟(以下高野連)は特待生に関する調査を実施。その結果376校、7971人の部員について日本学生野球憲章第13条2項の「選手又は部員は,いかなる名義によるものであっても(中略)その他の金品の支給,若しくは貸与を受け,又はその他の利益を受けることができない」に違反していると発表した。

 該当した高校および部員が春季大会を出場辞退する事態が続出。最終的にはその年の11月30日に「特待生の人数は、各学年5名以下とすることが望ましい」と高野連が発表、何とも曖昧な決着となった。ちなみにこの決定はあくまでも「望ましい」という結論であり、その後に表立っての調査などは行われていない。

2018年センバツ、ベンチ入り選手の約3分の1が「野球留学」

 高校野球の世界で「特待生」と同時に問題視されることが多いのが、都道府県の枠を超えて進学するいわゆる「野球留学」だ。「野球留学」イコール「特待生」というわけではないのだが、否定的な意見は昔から根強く存在している。近年では一昨年の春から3季連続で甲子園ベスト4に進出した秀岳館(熊本)に対して非難の声が上がったことが典型例である。鍛治舎巧監督(当時)が大阪の強豪中学チームの監督を務めていた繋がりから、レギュラーの大半を関西出身の選手が占めていたことがその理由だ。