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山崎元のマネー経済の歩き方

AIJ事件から個人は何を学ぶか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第218回】 2012年3月19日
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 主に企業年金を運用していたAIJ投資顧問が、顧客から預かった運用資産約2000億円の9割方を失っていたことが発覚した。詳細はまだわからないが、運用実績に関する虚偽報告(金融商品取引法違反)により、同社は運用会社としての登録を取り消された。

 この事件(「事件」と呼んでいいだろう)は、半分は運用会社の不正の問題であり、もう半分はこの怪しい運用を見抜けずに年金加入者から預かった資金の運用をAIJに委託した年金基金の問題だ。AIJに引っかかった年金基金はプロ失格であり、事件の被害者であると同時に、年金加入者に対して(悪意はないが)責任がある加害者でもある。個人投資家は、彼らの失敗から何を学ぶべきか。

 第1に、絶対リターン運用は怪しい、ということだろう。AIJは約10年にわたりコンスタントにプラスで十分に高い(不自然な!)リターンを実現していると偽っていた。株価全般の上下にかかわらず常にもうかっていると言っていたわけだが、何ともうま過ぎる話だった。本当に確実に高いリターンが上がるなら、AIJは他人のお金ではなく、自分のお金を運用するはずだ。「安定して、十分高い、絶対リターン(が実現します)」というようなうまい話を信じてはいけない。

 第2に、資産の管理と運用実績に関する客観的な証拠を求めよ。AIJの運用資産はケイマン籍の私募投資信託を経由して香港などに流れたことになっているが、現時点では、資産をどこで誰が保管し、その価値を評価していたのか不明だ。個人向けの運用商品でも、和牛、アイドル、映画などに投資すると称する商品で、お金の保管と資産の評価などに危うさを抱えるものを散見する。ファンクラブや寄付の感覚でならいいが、本気の資産運用には不向きだ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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