精神障害者の雇用義務化が、2018年4月から始まった。多くの企業は優秀な精神障害者の「青田買い」に走るが、職場に定着させるのは難しい(写真はイメージです)

法定雇用率引き上げで注目集める
「見えない障害者」の就労実態

 いま、多くの企業が注目しているのは、「見えない障害」と言われる精神障害(発達障害も含む)者の雇用義務化が、2018年4月から始まったことだ。2013年の法改正により、精神障害者についても法定雇用率の算定基礎に加えられ、障害者の法定雇用率も、これまでの2.0%から2.2%に引き上げられた。

 障害者を雇用しなければいけない民間企業の事業主の範囲は、従業員50人以上から45.5人以上に広がり、対象になる企業は全国約9万社に上るという。3年後の2021年4月までには、さらに法定雇用率は2.3%に引き上げられる。

 引きこもる人たちの背景には、大人の発達障害や精神疾患が要因になっている人たちも少なくない。

「引きこもり」という状態と発達障害や精神疾患との因果関係を示すエビデンスとしては、2010年に厚労省研究班が行った調査で、引きこもり状態の人の割合のうち発達障害と診断された者が約25%で4人に1人、不安障害や適応障害なども含む精神疾患と診断された者を含めると、9割を超えたというデータがある。

 しかし、この調査の対象者は、そもそも精神保健福祉センターに通う外来患者を対象に行われたものであり、8年前と比べて時代や世間の認識も大きく変わってきていることから、引きこもっている人たちの現実を表したものとは言い難い。

 実際には、周囲に知られないよう、診療を受けていない、あるいは家族から受けさせてもらえず、制度の谷間に埋もれ、精神障害者手帳を持たせてもらえていない人たちも少なくない。パワハラやセクハラといった職場の人間関係から逃れ、社会的ストレスで恐怖を感じ、働けなくなってしまった人たちもいる。

 とはいえ、厚労省によると、グレーゾーンの人が多く含まれる「大人の発達障害」者について、今回の雇用義務の対象になる人は、原則的に精神障害者手帳を持っている人に限られる。

 一方で、障害者雇用における全事業主の法定雇用率の達成割合は、2017年6月時点で、50.0%というのが現状だ。17年度の目標値である46.5%はクリアされていたものの、今年度からはそのハードルが上がることによって、企業側による人材の争奪戦も予想されている。