大人の発達障害の人たちの中には、学生時代は問題が顕在化しなかったのに、ビジネスの現場に入って人とコミュニケーション取っていく中で、なかなかうまくいかず、初めて自分の中にある“障害”を感じて相談に来るケースが多いという。

 LITALICOではまず、職場体験実習を踏まえての採用を企業側に提案し、面接にも同行する。採用が決まれば、当事者が働きやすくなるための合理的配慮事項の検討や、環境調整への助言を行い、採用後も本人や企業との面談を続ける。合理的配慮については、合意契約書も作成する。

 最終的にはサポートがなくても本人が自立でき、企業側も自然な形で本人を支えられるようにする「ナチュラルサポート」という体制にする。こうした長期戦略型の支援を受けたLITALICOワークス利用者の就労先への1年後の定着率は、77.3%(2016年度)とかなり高い。

「定着支援」で使用する「ヒアリングシート」は、離職につながりかねない綻びを、小さな段階で掴めるため、本人たちからもセルフモニタリングできると好評だという。厚労省でも「定着支援」を事業化し、今年4月から新たな就労系福祉サービスとしてスタートさせることにしている。

受け入れの環境が悪いだけ
働く環境は十分整えられる

 先行して雇い入れている企業の側からは、「発達障害や精神障害の方の特性を知れば知るほど、受け入れ側の環境が悪いだけで、十分働ける環境はつくれると確信を持った」という声も聞こえてくる。

 一方、企業の間では、精神疾患や発達障害が算定に入ることが、まだあまり知られていない。企業から「精神も雇用しなければいけないのか?」といった問い合わせも、公的機関などに増えているという。

「発達障害当事者協会」運営スタッフの嘉津山具子さんは、こう語る。

「当事者たちは、チャンスだと思っている。勤めてきた会社でも、これまでなら辞めるしか選択肢がなかったのに、障害者雇用に切り換えてもらえるので言いやすくなったと期待している人たちも多い。手帳を取ったらラべリングされると消沈していた人が、当事者会で市営バスが無料になるなどの話を聞いて、就活しやすくなると元気になっています」

 職場で苦しんでいた当事者たちも、診断を得ることでチャンスが生まれ、精神疾患者を雇用する企業の動きは、これからジワジワと広がりそうだ。

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 なお、毎日、当事者の方を中心に数多くのメールを頂いています。本業の合間に返信させて頂くことが難しい状況になっておりますが、メールにはすべて目を通させて頂いています。また、いきなり記事の感想を書かれる方もいらっしゃるのですが、どの記事を読んでの感想なのか、タイトルも明記してくださると助かります。