世間の大注目を浴びたネット証券、マネックスグループによる仮想通貨交換業者コインチェック買収の記者会見。その場では語られなかった、松本大・マネックス社長が胸に秘める“野望”の存在に着目した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)
仮想通貨交換業者のコインチェック買収を発表したマネックスグループの松本大社長。4月6日夕刻に開いた記者会見では、コインチェックの仮想通貨交換業者の登録とサービス再開について「2ヵ月程度を目標」とする方針のほか、同社の仮想通貨による決済機能やマネックスが国内外に持つ証券会社としての機能を組み合わせることで「全く新しい時代の総合金融機関をつくっていきたい」などと説明した。
コインチェックといえば、今年1月下旬に当時の交換レートで580億円相当に上る仮想通貨「NEM(ネム)」が外部流出した事件の当事者だけに大きな注目が集まったが、実は松本社長の腹の中には、この会見で語られた狙いの他にも“3つの野望”が渦巻いていたと考えられる。
それは、「第二の創業」を掲げ、松本社長自らがマネックス証券社長に復帰した直後となる昨年11月上旬に、本誌編集部が行ったインタビューの内容からひも解くことができる。
金融庁と議論しながら新しい枠組み構築
マネックスブランドで投資家の裾野拡大
1つ目の“野望”とは、仮想通貨について「金融庁と議論しながら規制や投資家保護の枠組みをつくっていきたい」ということだ。松本社長は昨年11月の取材時、「第二の創業」を掲げた理由と併せ、仮想通貨への思いをこのように語っていた。
「自分たちが主役となって、ブロックチェーンに限らずフィンテックと呼ばれる新しい技術がある中、いろんなサービスを作って提案していこうと思うに至りました。創業時はオンライン証券に関する法令がなかったので、我々が金融庁と一緒に考えてつくっていきました。それを創業時と同じような形でやっていきたい」