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社会起業家になりたいと思ったら読む本
【第2回】 2012年3月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
井上英之

なぜトップスクールは、
「社会起業」に熱心なのか?

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アメリカのスタンフォード大学、イギリスのオックスフォード大学は、
「社会起業」の研究拠点として、世界のソーシャル・イノベーションを牽引する存在となっている。世界的にもトップスクールとして有名なこの2つの大学が、なぜ「社会起業」に力を入れるのか? その問いへの答えは、「大きく考えることの大切さ」とつながっている。
連載第2回では、世の中の変化に加担するために、大学は何ができるのか、を紹介したい(『社会起業家になりたいと思ったら読む本』では1章の【3:大学とできること】に掲載)。

大学は、社会イノベーションの生まれる「産地」となる 

 この10年のあいだに世界中の大学で、社会起業の授業が増えてきている。特に世界のトップスクールほど、社会起業やソーシャル・イノベーションに熱心だ。

 それは、その社会や地域の中心にある大学ほど、学生や教員、そして卒業生たちが、各専門分野に特化するだけでなく、自分たちの生きる社会に大きな関心を持つからだ。

 それぞれの専門分野を超え、自分たちの地域・社会の展望やビジョンを考えることは、大学が人やリソースを惹きつける磁力ともなる。結果として、ビジネス、NPO、政府といった枠組みを超えた横断的な取り組みや対話を必要とする。

 世界中の経営者、政治家、メディア関係者らが集う「世界経済フォーラム」(通称:ダボス会議)での議論をみてみよう。

 ダボス会議のような場で、各企業のCEOたちは何を語るのか。

 経営者が、自社の利益や戦術の話のみをするのではダメだ。むしろ、国や地域を代表するCEOとして、どんな社会を見据え、ビジョンを描き、そこにどう寄与しているか、が語られるべきで、逆にそこにこそ敬意が払われる。

 なぜなら、さまざまな社会の課題が山積する現在、人類や社会への寄与こそ、多くの人にとって分野を超えて訴求する共通の「意味」であり、関心事だからだ。事業家も政治家もリーダーとしてのあり方や哲学が、現実に問われている。

ムハマド・ユヌスやアル・ゴアも集まる、大学主催のフォーラムとは?

 いま、社会のイノベーションのためなら、驚くほど素晴らしい各分野の人たちが集まる。たとえば、先日、バンコクで開催した、アジアの社会起業フォーラムでも、印象的なシーンにいくつも出合った。タイの若いアショカフェローが主催したこのフォーラムだが、タイの首相もコミットし、多くのアジアの投資家らも集い、日本も含めた各国の社会起業家たちと対話をした。

 欧米では、イノベーションを生み出す「場」づくりを、大学が果たしている。eBayの創業メンバーである、ジェフ・スコールが始めたスコール財団と大学との連携はよく知られている。

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井上英之 (いのうえ・ひでゆき)

1971年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、ジョージワシントン大学大学院に進学(パブリックマネジメント専攻)。ワシントンDC市政府、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、NPO法人ETIC.に参画。
2001年より日本初のソーシャルベンチャー向けビジネスコンテスト「STYLE」を開催するなど、国内の社会起業家育成・輩出に取り組む。2005年、北米を中心に展開する社会起業向け投資機関「ソーシャルベンチャー・パートナーズ(SVP)」東京版を設立。2009年、世界経済フォーラム(ダボス会議)「Young Global Leader」に選出。2010年鳩山政権時、内閣府「新しい公共」円卓会議委員。2011年より、東京都文京区新しい公共の担い手専門家会議委員、など。現在、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘准教授。2012年秋より、日本財団国際フェローとして、米国スタンフォード大学客員研究員として滞在中。


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