闇株新聞[2018年]

トランプが仕掛けた米中通商戦争に市場開放で応じた習近平のしたたかさ闇株新聞が戦況分析する「米中貿易戦争の行方」

2018年4月13日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事
闇株新聞プレミアムメールマガジン 20日間無料!

米国のトランプ大統領が中国を標的に鉄鋼アルミ関税の極端な引き上げに踏み切ってから約1カ月、中国の習近平国家主席が「対抗手段」に出ました。それは「国内市場のさらなる開放」と「輸入関税の引き下げ」というもの。世界の自由貿易を推し進める国は米国ではなくて中国!? その裏には習近平のしたたかな戦略が見えると、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が分析しています。

トランプが仕掛けた米中通商戦争に市場開放で応じた習近平のしたたかさ|闇株新聞が戦況分析する「米中貿易戦争の行方」

市場開放、関税引き下げ、人民元高で
外資を呼び込み人民元を国際通貨に!?

 習近平国家主席は4月10日、国内市場を外資にさらに開放する方針を示しました。中国で証券や保険、自動車製造などを営む場合に、外資の過半出資を容認するようです。また自働車などの関税を下げて輸入を増やし、米国との通商戦争を回避する方針と見られます。

参考記事:米国の鉄鋼・アルミ高関税率導入の衝撃! トランプの俺様主義に世界が振り回される(2018年3月9日)

 さらに、これはあまり報道されていないのですが、中国は人民元の対ドル相場をじりじりと上昇させています。10日現在のレートは1ドル=6.28元台。2016年11月が1ドル=6.96元、2018年初めが1ドル=6.50元ですから「元高政策」への転換は明らかです。

 トランプ政権の対中(だけとは限りませんが)通商戦争は、中国企業の米国進出を実質的にストップし、輸入品には高率関税をかけて抑え込み(米国企業に代替させて景気回復を図るつもりのようです)、ドル安で貿易収支を改善させようというものです。

 中国はこれを利用して投資資金を集め、関税を引き下げると同時に人民元高にして世界中から製品や資源を割安に輸入して経済を成長させようとしています。つまり米国と中国の通商戦略は、ほぼ全てにおいて正反対なのです。

 平常であれば、さすがに中国も「外資の過半出資容認」「関税引き下げ」「人民元高への誘導」をいっぺんには踏み切れなかったでしょう。しかし、今回は米国(トランプ政権)が勝手に輸入制限を行い、さらにドル安政策にまで踏み切りました。中国にとってはまさに「渡りに船」だったかもしれません。

 こうなると世界の企業・投資家は米国と中国のどちらに投資し、ビジネスを始めようと思うでしょうか? 為替市場だけを見ても米国はドル安政策、中国は元高政策ですから、普通の投資家であれば米国への投資を減らして中国への投資を増やそうと考えるでしょう。

 もちろん、中国には政治体制に対するリスクもあるため、米国への投資が一気に中国に切り替わることはありません。それでも米国への投資が減り、中国への投資が増えることは間違いありません。中国はこの機会に「人民元の国際化」も一気に進めてしまおうと考えているはずです。

高率関税対象国でも危機感のない日本
金融緩和・量的緩和を続けていいのか!?

 翻って日本はどうでしょう? 米国の高関税率(鉄鋼製品に25%、アルミニウムに10%)は今月から日本製品にも適用されていますが、政界も産業界も全く危機感がありません。

 黒田総裁の基本政策も相変わらずで、2%の物価上昇目標を掲げたまま金融緩和・量的緩和を維持しています。仮に米国が「さらなるドル安政策」に踏み切れば、追加金融緩和で「さらなる円安政策」を強行してしまいそうです。

 トランプ政権と真っ向から通商戦争ができないのであれば、せめて効き目がよくわからなくなった金融緩和・量的緩和などさっさとやめ、円高政策に切り変えるべきではないでしょうか。

 日本の金融市場はさすがに中国の金融市場よりは進化しているため、世界から投資資金が集まるはずです。資源も政治力も乏しい日本は、少なくとも人民元より早く「円の国際化」を進め、「強い円」を武器に存在感を発揮していかなければなりません。

 そこすら中国に先行されるのであれば、もうどうしようもありません。

闇株新聞プレミアムメールマガジン 20日間無料!

選挙対策(中間選挙・2020年大統領選)で財政赤字が拡大しようが保護貿易だろうが後先考えずにやりたい放題のトランプと、それをしたたかに利用して世界の富を集めようと企む習近平。米中二大国の貿易戦争に乗じて存在感を発揮できるはずなのに、それができない日本……世界経済の潮流が大きく変わろうとしている今、われわれ投資家はどこに着目しどう動くべきなのか? 刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』は日々刻々と変わる情勢を解説しながら、読者の皆様と一緒に考えていくメディアです。

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


今日の注目株&相場見通し!!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強株主優待
人気投信をズバ斬り!
最新iDeCo入門

4月号2月20日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[最強株主優待/投信格付]
◎巻頭特集
人気20銘柄の売買診断も!
最新決算でわかった2025年の大本命株28

●トランプ追い風株
●来期も好業績株
●好調の中小型株株
●配当を増額修正した株

◎第1特集
優待の達人25人が選んだ!
合計利回り30%超も!
最強株主優待ベスト150

桐谷さんの愛してやまない推し優待株
「優待+配当利回り」「最低投資額」2大ランキング
●多種多様なお店が並ぶ!外食
●押しグルメを探そう!食品
●家計の救世主!日用品
●いろんな買物に使える!百貨店・家電量販店
●化粧品や洋服でキレイに!美容・アパレル
●心躍る体験を!エンタメ・レジャー
●欲しいものが選べる!カタログ
●自由度が高い!金券・ポイント
●優待新設・廃止の最新ニュース
●優待弁護士が指南!優待株の失敗しない選び方
●女性優待ブロガー3人の座談会

◎第2特集
★★★の数を見るだけでOK!
人気投信をズバ斬り!
2年目NISAで買うべきは?
投信格付242【2025年春版】

2年目NISAの投信の選び方!
●コストの引下げアリ!インデックス型
●市場環境の変化が影響!アクティブ型
●株式比率の高い投信が好調!バランス型
●最高利回りは36%超!毎月分配型100

◎第3特集
手数料比較はもう古い!
大手ネット証券7社を徹底比較!
NISAで最強の証券会社セレクトガイド

基本サービスの充実度
ポイントのオトク度
●資産管理のしやすさ

【別冊付録】
今スグ始める?やめとくべき?
改正ポイントがわかる!最新iDeCo入門

iDeCoの何がスゴイ?
●受取のルールをマスター
●運用商品は何がオススメ?
●出口戦略こそ考えどころ
●手数料と買える投信で金融機関を選べ!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆おカネの本音!VOL.32
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報