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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

本当に悪いのはポストの私物化か、たらい回しか?
名古屋市民の声が届かぬ「議長リコール騒動」の異常

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第43回】 2012年3月22日
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河村市長と思いきや議長に不信任案が?
前代未聞の事態に揺れる名古屋市議会

 名古屋市議会が「不信任案を提出!」と聞き、思わず色めきたってしまった。河村たかし市長との対立が激化し、再び激しいバトルが展開されるのかと思ったからだ。とんだ勘違いだった。市長ではなく議長に対するもので、それも不信任決議案だった。3月16日に全会一致であっさり可決された。

 河村市長自らが議会リコールを主導したとき、名古屋市議会は「議会制民主主義を破壊する暴挙だ」と猛反発しながらも、市長に不信任案を叩きつけることはしなかった。「暴挙」に反撃せず、じっと耐え忍んだのである。

 そんな「我慢強い」名古屋市議会が全会一致で議長を不信任した。決議に法的拘束力はないが、可決は半世紀ぶりだという。名古屋市にとって歴史的な出来事と言える。

 止むに止まれぬよほどの事情があったのだろうと考えた。不信任決議された議長が看過できない不祥事や不始末を仕出かしたに違いないと思った。

 ところが、ことの顛末を知り、唖然としてしまった。議長不信任の理由は「慣例破り」というものだった。

 名古屋市議会では議長が1年で交代するのが、慣例となっていた。もちろん、法律で規定されているものではない。地方議会の議長任期は本来、議員の任期と同じ4年である。住民に選ばれた選良である議員の関心事と言えば、役職である。

 なかでも、議長職は議員の誰もが一度は就きたいと願う、最高のポストだ。権威と名誉、さらには様々な特権を手にできるからだ。そのため、ほとんどの地方議会で「議長職を1人占めしてはならない」という不文律ができている。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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