中国語を話せる社員が1000人突破、伊藤忠商事の課題中国語人材1000人の計画を達成した伊藤忠商事。東京本社で行われた記念集会では約700人の社員の他、中国の程永華駐日大使、CPグループ副会長、CITIC副社長らも出席した

「日本中を見渡して1000人の社員が中国語を話せる会社は例を見ない。非常に誇らしく思う」(岡藤正広・伊藤忠商事会長)

 伊藤忠商事は4月13日、中国語を話せる社員の数が、総合職の3分の1にあたる1000人を超え、記念集会を開いた。

 当日は中国語を学んだ社員約700人の他、中国の程永華駐日大使、アジア有数のコングロマリットであるタイのCPグループ副会長、中国政府系企業で、金融やエネルギー、製造業など多岐にわたる事業を展開するCITIC(中国中信集団)副社長らが出席した。

 真っ赤に飾られた壇上には日中両国の国旗が掲げられ、中国語の司会進行とともに、伊藤忠の鈴木善久社長の音頭により紹興酒で「ガンペイ(乾杯)!」。程駐日大使は挨拶で「まるで中国にいるようだ」と満足気な表情を浮かべた。

 岡藤会長自らが旗振り役となって「中国語人材1000人育成プロジェクト」を始めたのは15年のこと。背景にあるのは伊藤忠商事、CITIC、CPグループの3社が15年1月に業務・資本提携契約を締結したことだ。伊藤忠とCPはそれぞれ6000億円をCITICに出資した。

「業務・資本提携を成功させる上で何よりも重要なのがコミュニケーション」(人事・総務部)として、3社間での意思疎通を図りビジネス創出に結び付けることを狙い、18年3月末までに、中国語人材を当時の361人から1000人へ増やすことを目標に掲げた。

 なお、伊藤忠がいう中国語人材とは、中国政府公認の中国語検定試験「HSK」の合格者のこと。伊藤忠では中国語のレベルを、HSKの級によって初級・中級・上級に分類。1000人の内訳は、ネイティブレベルの会話ができる上級者が2割、ビジネスでのコミュニケーションができる中級者が3割、日常会話ができる初級者が5割となっている。