また、注目すべきは、メガプレートだけに限らず、中小規模の新築オフィスビルでも、働きやすさを考慮したデザインや設備を取り入れる動きが広がっていることだという。「企業側は柔軟かつ快適に働ける環境を社員に提供することで、優秀な人材の獲得や確保をかなえたいと考えています。こうした新しいオフィスに移転することは、その上で有効な戦略の1つになるかもしれません」(松岡氏)。

働き方に対する意思を明確にすること

 もっとも、働く場所さえ変えれば、それだけで社員の士気が上がり、イノベーションが巻き起こるというものでもない。

「オフィス移転は、社員の意識を変えるきっかけにすぎません。大切なのは、社員の気持ちに十分配慮しながら、どういう働き方をしてほしいのか、経営者の意思をしっかり伝えることです。せっかくオフィスを一新しても、働き方がまったく変わらないと、移転コストや賃料アップなどの負担だけが増え、かえって作業効率が下がった、という声も少なくはありません」(松岡氏)

 とはいえ、ABWを考慮したオフィスビルの供給が増えているのは望ましい状況である。オフィス移転は企業の文化や体質を見直し、社員の仕事力を上げる大きなチャンスといえるのではないだろうか。