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知らなきゃ損する 相続問題のリアル

自社株の評価額が数億円なんてことも…
小さな会社にも降りかかる、恐るべき事業承継の問題

八木美代子
【最終回】 2012年3月28日
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事業承継はスムーズにいくことの方が珍しい?

 身一つで会社を興し、順調に業績を拡大。あとは後継者に会社を譲り、悠々自適の隠居生活でもできたらいい…。そんな風に悠長にかまえている経営者の方も多いはず。しかし、事業承継はそう簡単にはいきません。その時になって、現実に起こる難題に頭を悩ます経営者も多いのです。ここでは中小企業の事業承継に起こり得るさまざまな問題と、その対策をご紹介したいと思います。

株価30倍で、相続税数億払う危機を
救った一手とは?

 都内で小さな製造業を営む、創業40年のR製作所。独自の技術に定評があり、この円高においても堅調な売上を維持してきました。創業者である社長は息子に会社を譲り、自分は一線から退くことにしたのですが…。

 オーナー企業の場合、自社株の大部分を持っているのは経営者です。そして次の世代にバトンを渡す時、その株も後継者に引き継がなくてはなりません。ここで『株価』という問題が立ち塞がるのです。

 創業してから長い年月が経過した会社は、利益が蓄積されています。それが株の評価を押し上げるのです。一見すると何の変哲もない町工場。その自社株が何と数億円になってしまうなんてこともあります。R製作所の場合も、株価は当初の1株100円から3000円に、なんと30倍にもはね上がっていました。

 このまま単純に株を後継者に譲り渡そうとすると、莫大な贈与税が発生します。また、先代が株を持ったまま亡くなれば、遺された家族には相続税の負担が重くのしかかります。だからといって、第三者にとってはほとんど価値がない自社株。売却して資金を作ることも現実的ではありません。

退職金+相続時精算課税制度の合わせワザ

 あわてた社長は、急いで相続に強い会計事務所に相談。そこで出たプランが退職金と相続時精算課税制度を組み合わせた方法でした。まず、社長は早目に引退し、非常勤取締役となりました。会社は社長に退職金を支払うことにより、その期は大幅な赤字となります。すると株価も下がるため、そのタイミングで相続時精算課税制度を使って株を息子に譲渡したのです。

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八木美代子 [株式会社ビスカス代表取締役]

早稲田大学卒業後、リクルート入社。1995年に株式会社ビスカスを設立。税理士を無料でご紹介するビジネスモデルを日本で初めて立ち上げ、現在まで10万件以上のマッチングを実現。相続に強い税理士のみを集めたサイト「相続財産センター」を運営し、相続コーディネーターとしても業界ナンバーワンの実績を誇る。著書に『相続の現場55例』(ダイヤモンド社)、『相続、いくらかかる?』(日経BP社)、『相続は『感情のもつれ』を解決すればお金の問題もうまくいく』(サンマーク出版)などがある。
株式会社ビスカス

 


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