大災害時に生活保護は頼れるか?熊本地震の教訓から検証熊本地震から2年が過ぎた。生活保護は、こうした大災害時の備えになるのだろうか。災害と生活保護にまつわる「ウソとホント」を整理する(写真はイメージです)

あの熊本地震から2年
災害と生活保護のウソ・ホント

 熊本地震が発生した2016年4月14日(前震)・16日(本震)から、2年が経過した。日本各地を豪雪や厳寒が襲った冬は終わりつつあるものの、建物や交通機関に被害が発生する地震、さらに突然の山崩れが続き、人命や財産が失われたり大きな被害を受けたりする事態が続いている。間もなく、集中豪雨や梅雨の季節がやってくる。そのあとは台風の季節だ。

 今回は、災害と生活保護のウソ・ホントを整理してみたい。個人では備え切れない場面に対して日本が用意している「これ以上、悪いことにはならない」という最低ラインは、災害時、どこにあるのだろうか。

 やや無理があるけれども、5項目にまとめると以下のとおりになる。

(1)生活に困っていれば、生活保護は利用できる
(2)住民でなくても生活保護は利用できる
(3)避難所でも生活保護は利用できる
(4)義援金・賠償金等は、保護費と別に受け取ることができる
(5)災害は生活保護差別の理由にならない

 いつ、どこでどのような災害に遭うか、予測することはできない。取るものも取りあえず、住民票のことは考えずに他県に避難しなくてはならないかもしれない。また、ゴールデンウイーク旅行中に帰れなくなり、他地域の家族や知人とも連絡が取れず、少なくとも向こう数ヵ月はそのまま暮らすしかない事態が発生するかもしれない。銀行に充分な預貯金があっても、残高の確認もできない状況が発生してしまうかもしれない。

 結論から言えば、日本にいるのなら、どのような状況下でも生活保護で生きられる。憲法第25条にも「生きていい」と書いてあるのだから。