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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

旧カネボウの適正株価は幾らか?株式買取訴訟が大詰め

永沢 徹 [弁護士]
【第9回】 2007年12月12日
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 「海岸ベルマネジメント株式会社」という会社をご存じだろうか。

 港区「海岸」という地名と「ベル」という名称から、かつての名門企業カネボウを連想した方は余程の事情通といえるかもしれない。旧カネボウが解散決議されて社名変更されたのが、海岸ベルマネジメントである。旧カネボウの大黒柱の化粧品事業は既に花王に事業譲渡され、残された日用品(シャンプーなど)、食品(ガムやカップ麺など)、薬品(葛根湯などの漢方薬)の3部門は、「クラシエ」というブランドで再起を図っている。この旧カネボウの3部門事業譲渡に反対した個人株主を中心とする約533人が起こしていた訴訟が、ここに来て大詰めの展開をみせている。

会社側162円、株主側1578円の買取価格で対立

 今回の裁判は、トリニティ・インベストメント(アドバンテッジパートナーズ、ユニゾン・キャピタル、MKSパートナーズの国内3ファンド連合が設立した投資会社)によるTOBに応じなかった株主たち(持株数合計676万株)による株式買取請求の行使にかかわるものだ。その争点となっているのが、株の買い取り価格である。

 この問題の経緯を振り返ってみよう。カネボウが花王との合弁による化粧品事業統合を断念したことを受け、2004年3月に産業再生機構の支援決定が出る。同年9月には金融機関の債権放棄が行なわれ、優先株が産業再生機構によって払い込まれる。そして、05年4月に粉飾決算の事実が公表される。粉飾決算が公表される前日の株価は1491円であったが、粉飾公表後、株価は暴落を続けた。

 カネボウ化粧品の引き受けが決まり、第三者割当増資が発表されたのは2005年6月6日、上場廃止が6月13日である。上場最終日の終値は360円であった。

 同年12月に、産業再生機構が、化粧品事業についての花王とそれ以外の3部門についてのトリニティ・インベストメントへの事業の売却を決定。翌06年1月に化粧品事業が分離されて花王の100%子会社になり、翌2月に公開買い付け(TOB)が162円で行なわれ、経営陣が賛成を表明した。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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