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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

アイフルが事業再生ADRを申請!
信頼性と事業価値維持を確保する再建手法「第3の道」

永沢 徹 [弁護士]
【第72回】 2009年9月25日
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 消費者金融大手のアイフルが24日、約2000人の希望退職を募集し、96ある有人店舗を3分の1以下の30店舗程度に縮小するという大規模なリストラ策を発表した。そして、グループの負債総額約2800億円について返済猶予を求めた「事業再生ADR」を申請し、受理されたという。

 最近申請案件が増加している「事業再生ADR」とは、どのようなものかご存知だろうか。事業再生ADRとは、法的整理でもなく、完全な私的整理でもない手法で事業再建を行う「第3の道」として平成19年に正式に制度化された。昨今の市況から「過剰債務に悩む企業」の問題解決と事業の劣化を防ぐため、より簡易かつ迅速な私的整理手続の整備が急務となり、生まれている。今回は、事業再生ADRの仕組みや手続き、そしてメリットについて説明していきたい。

法的整理への移行もスムーズ!
事業再生ADR手続きの流れ

 ADRとは、「裁判外紛争解決手続き(Alternative Dispute Resolution)」の略称である。訴訟や法的倒産手続のように裁判所による強制力を持った紛争解決の手続を利用することなく、当事者間の話し合いをベースとして、公正な第三者が関与することで紛争を解決しようとする手続を指す。国民生活センターで行われている仲裁や裁判所の調停、弁護士会の仲裁手続きは、みなADRだ。

 ADRを事業再生の分野に持ち込んだのが、「事業再生ADR」である。平成19年の「産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別措置法」(産活法)改正により、法務大臣から「認証紛争事業者」として認定を受けたADRの事業者については、事業再生の紛争を取り扱う認定も経済産業大臣から受けることができるようになった。そして今般アイフルの申請を受理したのが、昨年11月に認定1号となった「事業再生実務家協会(JATP)」だ。

 事業再生ADRは、メインバンクの主導ではなく、認定手続実施者であるJATPが公正中立の立場から手続きを遂行する。具体的には、資産負債内容を調査し、債務者企業に指導、助言を行い、上場企業であれば上場維持を前提として、借入金に関わる全お取引金融機関と弁済スケジュールの変更を含めた事業再生計画案の協議を行う。

 では、実際の手続きはどのように進むのか。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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