日本の労働生産性を低く見せているものとは

 日本生産性本部が、「国際比較をすると、日本の労働生産性は低い」という報告書を発表した。しかし、ヘッドラインだけを見て悲観的になる必要はなさそうだ。

「生産性」とは
労働力あたりの生産量

 それではまず、「労働生産性」とは何かを簡単に見ていくことにする。

 労働生産性とは、労働者が1時間働いて、どれだけモノ(財およびサービス、以下同様)を作れるのかを測った値のこと。1日当たりで比べる場合もあるが、1時間当たりで比べる方が、計算に手間はかかるがはるかに正しいものになる。

 実際には、1時間でパンを5個、自動車を1000分の1台、と数えて合計するわけにいかないので、労働生産性の国際比較などを行う場合には、名目GDPを労働時間で割って求める場合が多い。

 名目GDPは、日本経済が1年間にどれだけの付加価値を生み出したのかを測る統計。だから、労働生産性とは「日本の労働者が1時間に付加価値を何円分生み出したのか」を測るものだと言うことになる。

 こうして円建てで求められた金額を、ドルに換算して米国などと比較し、「日本の労働生産性が低い」という報告書が出されているわけである。