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出口治明の提言:日本の優先順位

新社会人の君へ。
まずは家を出ること!

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第43回】 2012年4月3日
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桜の季節が巡ってきた。今年もたくさんの新社会人が誕生する。ところで、社会人になるとはどういうことなのだろうか。原点に戻って考えてみよう。

家出のすすめ

 社会人になるとは、子どもから大人になることだと言い換えても別に間違いではないだろう。大人になって、最初になすべきことは、親の下から旅立ち、ひとりで生活を始めることだと考える。なぜなら、成人した動物で親と同居している動物は、まず世界中どこにもいないからだ。

 人間は紛れもなく動物である。動物として不自然な生活(成人後の親との同居)を続けていれば、親が子を駄目にするのは目に見えている。昔から「獅子の子落とし」というではないか。わが国に多い、いわゆるフリーターや未婚化現象も、これゆえであると言ったら、言い過ぎかもしれないが。

 私見だが、健康上の理由など、特別の事情がない限り、成人した子どもを同居させている親の所得税は、思い切って5倍程度に加重してもいいと考えている。そうなれば、さすがに親も子どもを家から追い出すだろう。就職が決まっていない場合はどうするか。もちろん、躊躇なく追い出すのである。

 追い出されれば、お腹が空くから、子どもは必死に就職先を見つけようとするだろう。仕事が見つかるまではアルバイトで食い繋げばいい。住むところは、いくらでもある。わが国では、前にも述べたように、世帯数よりも遥かに住宅数のほうが多いのだから。お金がなければ、シェアハウスに住んでもいいし、ルームシェアを選択してもいい。今の自分にふさわしいねぐらをみつけることくらいは誰にだってできるだろう。

 すなわち、新社会人としての第一歩は、すべからく家を出ることから始めるべきなのだ(理想を言えば、18歳で大学生になったら家を出てほしいが、生活費を稼ぐために勉強に集中できなくなるという弊害もある)。それが大人になることの意味である。自分の食べるごはんを自分で稼ぎ、自分のねぐらも自分で確保し、ゆくゆくは子どもを育て、“社会に守られる側”から“社会を守る側”に成長していくことこそが、人間の「自立」の真の意味に他ならない。社会人になるとは、要するにそういうことなのだ。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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