ちょっとしたお礼に使える
メッセージカードの粋

 その日から福島氏は、その喫茶店で打ち合わせをするときには、お客さまの水の下にそっとコースターを忍ばせるようになった。『なぜ、コースターを持っているんですか?』と面白がる人もいれば、まったく気が付かれないこともあるという。しかし、それでも構わないのだと福島氏は言う。

「コースターを面白がってくれるなら、私も素直にうれしいです。でも気が付かれなくても何の問題もありません。私の目的はあくまで『お客さまの使うテーブルを水浸しにしない』こと。相手に気が付かれずに水浸しを防ぐことができたのなら、マナーとしては正解だと思っています」

 もちろん、コースターを使うのは、時と場所を選ぶ必要がある。お客さまの行きつけのお店や経営しているお店、お客さまの会社、自宅などでは決して使わない。コースターを出すこと自体が、マナーというわけではないのだ。

 また、法人営業をしている関係で、企業へ訪問する機会も多い福島氏は、毎回ある人物だけにお礼をしていないことに気が付いた。それは、“お茶を持ってきてくれた事務員”である。

「お茶を出していただいたときには『いただきます』と言えますが、飲み終えたときには事務員の方はすでに退室していらっしゃるので、お礼を言えていないんです。何かしてくれた人に対し、お礼を言うのは当たり前のマナー。しかし、直接呼び出してもらうには大げさ過ぎます。また、メールも電話も、事務員の方に向けたお礼の手段としてはしっくり来ないと思いました」

 そこで思い付いたのが、“お礼のメッセージカード”だ。お茶請けの下、コーヒーカップの下、グラスの下…さまざまな形状に対応できるよう、オリジナルで紙をカットし、そこにお茶を出していただいた方へのお礼のメッセージをしたためた。お茶を下げた際に見つけてもらえればという思いからだったが、これが思いがけない成果へとつながることになる。