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これからの日本について、自分のアタマで考えよう!
【最終回】 2012年4月6日
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藤野英人,ちきりん

宝くじは好きだけど、投資はキライな日本人
お金に対して、もっと自分で考えよう!

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『日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。』を上梓した、凄腕ファンドマネジャーの藤野英人さん、『自分のアタマで考えよう』が11万部突破のヒットとなっている人気ブロガー、ちきりんさんとの特別対談も、今回が最終回。最後に、日本人が苦手としている「お金の運用」について、語ってもらった。

日本人は短期的に結果が出る
「博打」好きである!?

ちきりん 日本って、お金儲けは悪であるという雰囲気がありますよね。特に株式投資はイメージが良くない。だいたい政治家からして株嫌いじゃないですか。テレビで見たんですけど、ある閣僚が資産公開をしたら定期預金ばかりだったんです。記者が「株は持たないんですか」と聞くと、大臣は「オレがそんな危ないものに手を出すわけないだろ」と答えてて本当にビックリしました。大臣がそんなこと言っている国の経済が成長するわけがないですよね。でもその一方で、最近はFXをやっている人はけっこういるし。

藤野英人(ふじの・ひでと)レオス・キャピタルワークス取締役・最高投資責任者(CIO)。 1966年富山県生まれ。90年早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、 5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立、現会社を創業し、現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する スタイルである、直販ファンドの「ひふみ投信」を運用。ファンドマネジャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。ひふみ投信  http://www.rheos.jp/ ツイッターアカウント@fu4

藤野 そうなんですよね…。あと、宝くじもすごく売れている。日本宝くじ協会のデータによれば、1回でも買ったことのある、宝くじ購入経験率は75.2%だとか。4人いたら3人は買ったことがあるという…。

ちきりん FXは、為替が上がるか下がるかといった予想に大きなレバレッジをかけて短期に大儲けしようという人が多いですし、宝くじは一攫千金ですよね。つまり、日本人は博打好きなんですか?(笑)

藤野 実は、短期的に結果が出る博打が大好きな民族なんですよね。さらに歴史を振り返ると、思考がロングタームよりもショートタームである傾向があるようです。江戸っ子は「宵越しの金は持たない」って、言うし(笑)

ちきりん たしかに。でも大半の日本人はそのように自覚してませんよね。多くの日本人は、長期的な視野が日本人の特長だとさえ思っている。

藤野 それこそ、今まで言ってきた既成概念に縛られたイメージですよね。僕の意見では日本人はお金が好き、さらに短期で決まる博打も大好きです。そして、社会に対してお金を出すのが嫌いです。

 たとえば日本人は寄付の額がすごく少ない。1世帯当たりの寄付の金額は、アメリカが約13万円なのに対して日本は約2500円、アメリカの50分の1です。これは税制の差じゃ説明がつかないくらいの圧倒的な差ですよね。各国で比較しても、三菱総研のデータによれば日本の寄付金額は36ヵ国中29番目です。また起業する人にお金を出すベンチャー投資も一般的ではない。スタートアップのベンチャー投資がどれだけ盛んかを比べると、主要国で日本は最下位なんですよ。ギリシャと日本が同じくらいでしょうか。

ちきりん なぜFXはするのにベンチャー投資はしないんでしょうか?

藤野 長期で結果を待つのが耐えられないのだと思います。ベンチャー投資というのはダメな場合は3年でほぼ結果が出て、うまくいく場合はだいたい8年かかりますからね。

 あと、日本の投資信託の平均保有年数ってご存知ですか? 2.8年と他の先進国に比べてすごく短いんです。これも、日本人が長期的視点で資産運用や投資することができないという特性を示しているように思われます。

ちきりん ちょっと儲かるとすぐ売っちゃうんですね(笑)。でもそれは、ちょっと儲かると、証券会社の営業マンがすぐに売れ売れと言うから、という理由もありますよね。

藤野 それもありますね。僕のセミナーで「何か質問ありますか?」というと、「この前、ブラジル株を買ったんですけど、あまり上がらないので中国株に乗り換えようと思うんですけど、どうですか」という類の質問をけっこういただきます。だから、下がっても乗り換えようとして売る人が多いんです。

 僕は、そういうときは、いつも次のようなことを言います。2005年頃、アクティビストファンドのスティール・パートナーズや村上ファンドが出てきた時に、彼らはハゲタカと批判されました。スティール・パートナーズはブルドックソースの株を買い、会社に対してもっと配当を出せとか、もっと収益を上げろということを言いました。それに対して日本のメディアや日本人の多くは、彼らはブルドッグソースという会社の将来を考えてない、あいつらはハゲタカだ、短期投資家だと批判をしました。

 でもそれならば、今のあなたが取ろうとしている行動はどうですか。そのブラジルの会社のことを考えて投資したんですか。それを考えないで、短期的に株が上がるか下がるか、そういう投資ばかりするのなら、まずは自分をハゲタカだと認めましょう、と。

ちきりん はは、なるほど(笑)。都合のいいときだけ長期投資を持ち出すくせに、自分は短期で利益が得たいんですね。

藤野 別に僕は短期投資が悪いって言っているわけではないんです。ただ、ハゲタカだと言うなら、自分たちも、違う国でハゲタカと同じ行動をしているということについて自覚した方がいいと、釘をさすようにしているんです。

 でも、そうやって短期的にマネーゲームをしている人たちの一方で、金融資産に占める現預金の比率は50%と世界最高です。要は、お金をすごく抱えていて、1円も減らしたくないと。そして社会のために使いたくないし、株式投資などでリスクも取りたくない、でも宝くじのような一攫千金には憧れるというのが日本人の平均的な姿なんです。

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藤野英人(ふじの・ひでと)

レオス・キャピタルワークスCIO(最高運用責任者)
1966年、富山県生まれ。90年早稲田大学法学部を卒業。国内、外資系運用会社を経て2003年8月レオス・キャピタルワークスを創業、CIO(最高運用責任者)に就任(現任)。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネジャーとして豊富なキャリアを持つ。現在、運用している「ひふみ投信」は4年連続R&I優秀ファンド賞を受賞、さらに「ひふみ投信」「ひふみプラス」を合わせたひふみマザーファンドの運用総額は600億円を超えている(2015年6月現在)。ベンチャーキャピタリストであり、自身がファウンダーでもあるウォーターダイレクトを上場させ、現取締役。 また東証JPXアカデミーフェロー。明治大学商学部兼任講師。主な著書には『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)ほか多数。

ちきりん

関西出身。バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。 2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。 シリーズ累計23万部のベストセラー『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)、『「自分メディア」はこう作る! 』(文藝春秋)など著書多数。

 


これからの日本について、自分のアタマで考えよう!

カリスマ人気ブロガーと辣腕ファンドマネジャーの異色カリスマ対談! 個人のブログで月間150万PVを誇る人気ブロガーちきりんさんと、5500人以上の社長と会い、驚異の運用成績を上げているファンドマネジャーの藤野さん。この2人が初めて顔を合わせ、日本の将来は本当に暗いのか、経済、仕事、資産運用などをテーマに語った!

「これからの日本について、自分のアタマで考えよう!」

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