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デジタル変革の時代に
IT部門はどうすれば企業の役に立つか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
2018年5月18日
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大きなビジネス環境の変化や技術革新が進行する際には、必ずといってよいほどIT部門の組織ミッションや存在価値に関する議論が湧き上がる。現在は、あらゆる業界で押し寄せるデジタライゼーションの波にどのように立ち向かうかが問われており、これに対してIT部門の役割を再定義する動きが活発化している。

IT部門に求める役割見直しの機運

 これまでも、リーマンショック後のコスト削減の嵐、内部統制への傾注といったビジネス環境の変化に直面した時、また、オープンシステムの浸透、ERPの台頭、クラウドの普及といったテクノロジの転換期には、IT部門のあり方を問う議論が必ず持ち上がってきた。今まさに、こうした議論が再燃しているのはデジタライゼーションの潮流によって、本業分野におけるビジネス変革やビジネスモデルの転換にIT部門がどのように貢献できるかが問われていることが背景にある。

 ITRが17年間継続して行っている「IT投資動向調査」では国内ユーザー企業のITに対する取り組みを定点観測的に追跡しているが、最新の調査では現在と今後のIT部門の役割に関する質問を投げかけている。まず、自社のIT部門が「現在担っている役割」と、「3~5年後に担うべき役割」をそれぞれ問うた結果を集計してみると、全体的に担うべき役割が縮小・分散する傾向が見られた(図1)

 これは、既存システムの維持運用に加えて、グループやグローバルへの業務領域の拡大、セキュリティ対策やコンプライアンスへの対応、数多い開発・保守案件の遂行など実施しなければならない業務は増加する傾向にあるものの、人材は必ずしも増員されるわけではなく、抱えている業務で手一杯という状況から何とか脱したいという意向を読み取ることができる。

 特に、現在IT部門が担っている中心的な役割である「システムの機能やパフォーマンスの改善」「システムの安定稼働/障害対応」「セキュリティ管理」といった「従来型機能」に位置づけられる項目は、調査時点では6割程度の企業でIT部門が担っているが、3~5年後にもIT部門が担うべきだと考えている企業の割合は3~4割と大きく落ち込んでいる。

 ITをビジネスに利用する以上、安定性や安全性、パフォーマンスに関わる要求水準が今後低下するとは考えにくいため、その役割自体の重要度は下がらないだろう。したがって、こうした「従来型機能」は中長期的にはクラウドの活用、専門性に優れた外部事業者へのアウトソーシング、システムによる自動化などを推進していくことで社内の業務負荷を軽減したいという意向が反映されていると考えられる。

 一方、今後に向けて拡大が見込まれるのは「ビジネス・イノベーションの促進」「新規市場参入のための戦略・技術の検討」「商品・サービスのデジタル化」など「ビジネス戦略」に関わる役割である。現状では、これらの役割をIT部門が担っている企業は軒並み十数パーセント程度にとどまっているが、将来に担うべき役割と位置づける企業の割合はいずれもわずかながら上昇している。一部とはいえ、攻めの組織に転じたいと考えるIT部門の責任者が存在することを物語っている。

 本来であれば、「従来型業務」の省力化を図り、そこで創出された余力(時間)を業務改革やビジネス戦略に直結する業務に振り向けることが期待されるが、「IT改革」および「業務改革」に分類される項目も、現在と今後の選択率はほぼ横ばいであり、役割が拡大すると期待されている「ビジネス戦略」に関わる項目も、「従来型機能」の減少分を埋め合わせるほどではない。

 実はこうした状況は同じ質問を投げかけた3年前とほとんど変わっていない(本連載37回「クラウド時代にIT部門は不要なのか?」)。つまり、IT部門では従来型機能の業務をスリム化し、ビジネス戦略に貢献する業務を拡大させたいという気持ちは持っているものの、その転換は遅々として進んでいない状況が見て取れる。

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内山悟志
[ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。

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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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