歴史を学ぶ時、最も役に立つデータはその時代のGDP世界シェアであると信じているが、より簡便な方法は、都市の世界ランキングを見ることだ。例えば、紀元1000年の世界の3大都市は、コルドバ、開封、コンスタンチノープルだったが、当時のコルドバは極盛期ウマイヤ朝(スペイン)の首都、開封は北宋の最盛期の首都、コンスタンチノープルはマケドニア朝東ローマ帝国の最盛期の首都であった。

 要するに、国を代表する都市の盛衰は、その国の盛衰を正確に映す鏡のようなものなのだ。いかなる国であれ、長期に栄えていくためには、まずもってその国の個人や企業が、グローバルな競争に打ち克つ力を持っていることが必要だが、都市の競争力も劣らず重要である。今年の3月12日、英誌エコノミストの調査部門とアメリカのシティグループが世界120都市の競争力レポートを発表したので、それを1つのたたき台としてわが国の抱える課題を考えてみたい。

東京はシンガポール、香港に劣後して世界6位

 まずエコノミスト誌のランキングを眺めてみよう。

 東京は、総合ランキングで6位に入った。他の日本の都市では、大阪がミラノ、ドーハと並んで47位、名古屋がローマと並ぶ50位につけている。東京の6位というポジションは、一見するとそう悪くはないようにも見えるが、問題は同じ東アジア経済圏に属するシンガポールや香港が東京より上位にランクされていることだ。