勤務間インターバル制度で睡眠と生活時間を確保する勤務間インターバル制度ならば、残業しても睡眠と生活時間が確保できるため、過労死が防止できるという(写真はイメージです)

「働き方改革関連法案」が衆議院本会議で可決され、参議院へ送られた。「高度プロフェッショナル制度」のことばかり話題になっているが、改革の一つ「勤務間インターバル制度」は“過労死抑制の鍵”になるといわれる。企業でどのように導入されているか、KDDIの労使交渉の経緯を紹介する。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

勤務間インターバル制度で
睡眠と生活時間を確保する

「勤務間インターバル制度」とは、労働の終了時刻から、次の労働の開始時刻までに一定の休息時間を取ること。つまり、終電まで仕事をして、睡眠時間も確保できないまま、翌朝、始業時刻に出勤するという生活ではなく、「休息時間の確保を中心にして生活時間を組み立てる」という考え方だ。

 EUでは、EU諸国に共通する労働基準として「最低11時間のインターバル(休息の付与)」が定められている。「11時間」の内訳は、1日24時間の中で、仕事以外の生活時間として(1)睡眠時間:6~7時間(2)通勤時間:片道1時間×2(往復)(3)生活時間(食事・入浴・余暇等):朝1時間、夜1~2時間を指している。

◎インターバル11時間の考え方と根拠
 ◆一般的な生活時間に基づいて設定

 ・睡眠時間:6~7時間
 ・通勤時間:片道1時間往復=2時間
 ・その他生活時間(食事、入浴、身支度等):朝1時間+夜2時間=3時間

勤務間インターバル制度のイメージ【出所】厚労省の検討会資料を編集部で改編 拡大画像表示