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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の14「己の欲せざる所人に施す勿れ」(論語)
業績が悪い、モノが売れないと嘆く前に

江上 剛 [作家]
【第14回】 2012年4月24日
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 パナソニック、ソニーなど日本を代表する大手企業が軒並み大赤字だ。少しずつ景気が回復していると言われても、なかなか実感できないのが実情だ。

 そこでちょっと視点をずらしてみよう。マクロ経済が低調なら、ミクロ経済、すなわちあなたの会社も低調になるのだろうか。そんなことはない。もしマクロとミクロが連動しているなら、低成長であるいま、どこの会社もダメになるということになる。

日本企業の忘れ物

 マクロ経済が低成長でも立派に業績を上げている会社はある。たとえセブン&アイグループやイオンなどの流通グループは最高益を計上している。震災などのマイナス要因からいち早く立ち直り、売り上げを回復させた。

 これを震災特需だと片付けてはいけない。これらの企業は、「己の欲せざる所人に施す勿(なか)れ」(論語)の精神で商売をしているのだ。

 この言葉は、「子貢問うて曰はく、『一言にして以って終身之を行ふべき者あるか。』子曰はく、『其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所人に施す勿れ。」という中の一部だ。

 ひと言で終身行うことがあるかという問いに、孔子は「恕」、人を思いやる心だと答え、自分がして欲しくないことは、他人に対してするもんじゃないと答えるのだ。

 私的には人間と言うものは自己愛の賜物。他人のことなんかより自分のことが可愛くてしかたがない動物だ。それを克服して他人を思いやり、自分を愛するように他人を愛せれば、それが最高のことだと、孔子は言っているのだろう。

 これをビジネスの分野に応用すると、「売りたい物を売るのではなく、客が買いたいと思っている物を売る」、「自分が欲しくもないものを、他人に無理やり売るんじゃない」ということになりはしないか。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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