党首討論における
渡辺党首の主張

 4月11日に行われた党首討論で、みんなの党の渡辺喜美代表は、消費税を地方財源にするよう訴えた。これに対して野田首相は、「荒唐無稽のアジテーション(扇動)だ」と一蹴した。

 野田総理は、「消費税をすべて地方に回せば、増加一方の年金の財源は、社会保険料や所得税で賄うことになるが、それは勤労者の負担をますます増加させ、世代間の負担を拡大することになる」という趣旨のことも述べている。

 現在、消費税収は、地方消費税と地方交付税という2つの制度で、すでに半分近くが地方に移譲されている。さらに残りの半分を地方に、と言うのはだれが考えても「荒唐無稽のアジテーション」だろう。

 みんなの党は、地域主権型道州制の導入を提言し、消費税を地方税にすることを提言している。しかし私は、野田総理のあげた世代間の負担の公平性という論点に加えて、地方分権・道州制の税財源のあり方という観点からも、消費税を地方財源とすることには問題が多いということを指摘したい。

分権にふさわしい
財源は何か

 私は、極端な分権論者ではないが、わが国の今後のあり方を考える場合、地方分権を進めていくことは、大きな流れとして容認すべきだと考えている。その際、分権に伴う財源・税制をどう考えるべきかは、今から議論しておくべき極めて重要な課題だ。

 では、地方政府にふさわしい税財源とは何か。まず、税収の安定性があること、そして偏在性(地域による偏り)がないこと、さらには、地方政府の各種サービスへの応益性、つまりサービスに応じた負担という観点も重要である。そのためには、地方政府で税率を自主的に決定することができる必要がある。