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森信茂樹の目覚めよ!納税者

消費増税議論(その10)
道州制税の財源として消費税はふさわしいか

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第26回】 2012年4月25日
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党首討論における
渡辺党首の主張

 4月11日に行われた党首討論で、みんなの党の渡辺喜美代表は、消費税を地方財源にするよう訴えた。これに対して野田首相は、「荒唐無稽のアジテーション(扇動)だ」と一蹴した。

 野田総理は、「消費税をすべて地方に回せば、増加一方の年金の財源は、社会保険料や所得税で賄うことになるが、それは勤労者の負担をますます増加させ、世代間の負担を拡大することになる」という趣旨のことも述べている。

 現在、消費税収は、地方消費税と地方交付税という2つの制度で、すでに半分近くが地方に移譲されている。さらに残りの半分を地方に、と言うのはだれが考えても「荒唐無稽のアジテーション」だろう。

 みんなの党は、地域主権型道州制の導入を提言し、消費税を地方税にすることを提言している。しかし私は、野田総理のあげた世代間の負担の公平性という論点に加えて、地方分権・道州制の税財源のあり方という観点からも、消費税を地方財源とすることには問題が多いということを指摘したい。

分権にふさわしい
財源は何か

 私は、極端な分権論者ではないが、わが国の今後のあり方を考える場合、地方分権を進めていくことは、大きな流れとして容認すべきだと考えている。その際、分権に伴う財源・税制をどう考えるべきかは、今から議論しておくべき極めて重要な課題だ。

 では、地方政府にふさわしい税財源とは何か。まず、税収の安定性があること、そして偏在性(地域による偏り)がないこと、さらには、地方政府の各種サービスへの応益性、つまりサービスに応じた負担という観点も重要である。そのためには、地方政府で税率を自主的に決定することができる必要がある。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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