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「デフレを脱却できないのは日銀のせい」は本当か?
金融政策の限界と独立性を無視した政治圧力への警鐘

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第224回】 2012年5月1日
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デフレから脱却できないのは
本当に日銀のせいなのだろうか

 「デフレから脱却できないのは、日銀が政策を出し惜しみしているからだ」

 最近、そうした発言が目立つようになっており、日銀に対する政治的圧力の高まりが鮮明化している。

 わが国経済がデフレから抜け出せないのは、本当に、日銀の政策運営に問題があるのだろうか。その点について、はっきりした答えがあるわけではない。

 金融の専門家や経済学者の間でも意見が分かれている。「デフレはお金に関する現象なのだから、日銀の政策次第で解決できるはずだ」との見方がある一方で、「すでに日銀は潤沢な資金供給を行なっているにもかかわらず、デフレが続いているのは多額のデフレギャップがあるからだ」との意見もある。

 現在民主党の中には、「日銀の独立性を保証した日銀法を改正してでも、日銀にさらに積極的な政策を打たせるべきだ」との思い切った意見が出ている。そうした政治的な圧力に関しては、大きなリスクが存在する。

 政治家諸氏は、必ずしも経済・金融の専門的な知識を持っているとは限らない。そうした人々が「デフレは日銀のせいだ」と主張し、日銀が独立して意思決定できる現在の体制を崩そうとしている。

 中央銀行が、政治の圧力によって通貨を際限なく発行すると、中長期的には通貨の価値が下落してインフレ圧力が高まるだろう。そのときに、都合の良いところでインフレ率を止めようとしても、それがうまくいく保証はない。

 その結果、経済全般の活動に大きな支障を与えることが考えられる。長い目で見ると、それは社会全体にとってプラスにならないはずだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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