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山崎元のマネー経済の歩き方

ドルコスト平均法の「壁」

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第109回】 2009年12月29日
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 筆者はFP(ファイナンシャル・プランナー)向けに講演をすることが時々あるが、この際に話題にすると必ず後から質問が出るのが「ドルコスト平均法」だ。もっとも、質問は、大人数を前にした講演時間中ではなく、講演の後の懇親会のような場で個別に行なわれることが多い。場合によっては、同じ説明を5回も6回も行なうことになる。

 株式や投資信託のような価格が変動するものを定期的に等金額で買い付けていくのがドルコスト平均法だが、筆者が言いたいのは、これを投資の方法として「有利な方法だと思うな」ということに尽きる。たとえば、ドルコスト平均法は有利だという持ち株会の説明を信じて勤務先の株式を買い続け、リスクの過度の集中を生むような事態は避けたいと思う。また、ドルコスト平均法を過大評価して同じ商品を定期的に買い付ける投資家は金融機関にとって「都合のいい客」だ。それ以外にもっと合理的な投資機会があっても、そこに目が向きにくいことにも警鐘を鳴らしたい。

 一方、ドルコスト平均法か否かを問わず、定期的な積み立てをすることは貯蓄の習慣として実用的に優れている。筆者は、このことまで批判したいわけではない。

 ドルコスト平均法に主な難点は3つある。

(1)投資できるおカネが十分あるのに、これを分割して時間をかけて投資すると、その間の機会損失(得べかりし利益の喪失)がある。

(2)投資額を分割することによって、余計な手数料や手間がかかりがちになる。

(3)ドルコスト平均法は一つの対象を買い続けるので、リスクが集中しがちになる。せっかく何度も購入するのだから別々の対象を買ったほうがリスク分散になる。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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