米国は1900本、日本19本!?「アクティブETF」は次世代運用の主流となるか?【投資信託の最前線】

2023年に日本で解禁されて以来、じわじわと存在感を増している「アクティブETF」。海外、特に米国では、目覚ましい成長を遂げていることから、日本でもアクティブ運用の新しい形として活用が期待されています。日米のETF市場を比較し、日本でもアクティブETFが本格的に普及するのか、その可能性を探ります。

日本では2023年に解禁!
7月に3本設定でアクティブETFの本数は19本に

 2025年7月の投資信託市場を振り返ってみると、3本の新しいアクティブETF(上場投資信託)が設定されたことが話題となりました。ETFとは、株式市場に上場している投資信託のこと。アクティブETFは、ファンドマネジャーがベンチマークを上回る投資成果を目指すアクティブ運用を行うETFを指します。

 ETFは、特定の株価指数(インデックス)に連動した投資成果を目指すインデックスETFが主流でしたが、日本では2023年にアクティブETFが解禁。2025年7月末時点で運用本数は19本、残高は550億円(1本あたり約29億円)となっています。

 2025年7月は新規設定もあったので、アクティブETF全体の資金の純流入額は若干のプラスとなっていますが、2025年5月、6月は解約が優勢になるなど、日本では、まだ本数・残高ともに本格的な拡大は見られていません

 ところが、米国を中心に、海外におけるアクティブETFの市場拡大には目を見張るものがあります。それを受けて、日本でもアクティブETFの拡大を期待する声も。そこで、今回は、日米のETF市場を比較してみたいと思います。

米国では本数でアクティブETFがインデックスETFを逆転!
今後、つみたて投資枠にアクティブETFが対象になる期待も

 2025年7月17日付の日本経済新聞に「米アクティブETF、本数で半数超え パッシブ*偏重転換の兆し」との記事がありました。米投資信託協会(ICI)の6月末時点のETF市場データを見ると、アクティブETFの本数は1936本となり、同時点のインデックスETF1935本を1本ながら上回り、初めて本数で逆転しました。

*パッシブ…市場の値動き(指数)と連動することを目指す運用方法のこと

 ただ残高については、米ETFの残高11.3兆ドルのうち、インデックスETFの10.2兆ドルに対して、アクティブETFは1.1兆ドルと、全体の1割弱にとどまっています(コモディティ型を除く、2025年6月末時点)。もともとETFは、指数連動型を中心に発展した経緯もあり、アクティブETFの占める割合はまだ限定的と言えます。しかし、1本あたりのアクティブETFの残高は、平均で5.6億ドル(800億円強)となっており、アクティブETFがビジネス的にはうまくいっているものと考えられます。

 ETF投資は、リアルタイムで取引できる利便性に加えて、米国では税制メリットや運用コストが低いことが魅力とされています。これを背景に、アクティブ運用において、ミューチュアルファンド(一般的な投資信託)からETFへの資金シフトが見られます。

 日本のアクティブETFもこのような目に見えるメリットを提供することが、市場拡大にとってのカギとなりそうです。新NISAのつみたて投資枠にアクティブETFを含めることが検討されているとも報じられており、今後日本でもアクティブETFに注目が集まることも予想されます。

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
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