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金融恐慌の入り口で、日本はピンチをチャンスに変えられるか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第49回】 2008年10月14日
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 米国発の金融市場混乱は欧州やアジアをはじめ世界中に拡大しており、次第に金融恐慌の様相に近付いている。

 米国では大手投資銀行に続いて、大手銀行の実質的な破綻が発生している。今まで処理が遅れていた欧州では、ドイツ大手の不動産会社に総額7兆円にも及ぶ公的資金援助が実施されたり、ベルギーやオランダ、英国などで金融機関の実質的な破綻が相次いでいる。また、香港やインドなどでも一部の銀行で取り付け騒ぎが発生している。

 それに伴い、銀行同士の資金貸借取引市場では、信用収縮懸念の拡大で、互いに資金取引をほとんど行わない厳しい状況に追い込まれている。こうした事態が長期化すると、これからも銀行破綻の発生は避けられない。

 しかも、その勢いは一向に下火になる兆候が見えない。世界は、一歩づつ世界金融恐慌の入り口に進んでいるように見える。

 そうした状況下、相対的に痛手の小さいわが国の有力金融機関は、体力を消耗した欧米の金融機関の一部を買収したり、多額の出資を行ったりしている。その背景には、今回の金融混乱は、国際業務拡大のチャンスと認識していることがある。特に、欧米の先進の金融技術を持つ人材を確保することによって、国際業務のノウハウを蓄積する狙いがある。

 一方、今まで米国依存度が高かったわが国の企業の多くは、米国経済の後退によって業績悪化に追い込まれる可能性が高い。それが、わが国の株式市場でも顕在化している。世界的な金融不安の中で、わが国が向かうべき道を考える。

当面の景気後退は不可避
本格的な回復は2010年頃か

 90年代後半の株式バブルと、その後2007年までの住宅バブルに支えられて、好調を維持してきた米国経済は、今後、バブルの“つけ”を払わなければならない。昨年夏までは強気だった米国の経済専門家も、ようやく状況の深刻さに気がつき始めた。経済活動の低迷は、これから1年ないし1年半程度続くとの見方が有力になっている。

 その間、様々な対応策が講じられるだろうが、本格的に景気が回復に向かうのは2010年頃になると見るのが穏当だ。

 米国の景気減速の影響は、間違いなくわが国の経済にも及ぶ。元々、わが国の景気は、米国向け輸出拡大をきっかけに、2002年2月から上昇過程を歩み始めた。それに加えて、中国で高い経済成長に伴う投資ブームが盛り上がり、中国向け輸出の拡大が日本経済の上昇を加速した。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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