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“谷底”と“急浮上”の明暗分かれた3月期決算
経済の女神が日本企業に迫る「経営力の革新」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第226回】 2012年5月22日
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明暗分かれた2012年3月期決算
浮上の非製造業と谷底の製造業

 5月中旬までに集計された2012年3月期の企業決算を見ると、2つの大きな特徴が見られる。

 1つは、大震災などでサプライチェーンに痛手を受けた製造業部門の回復が遅れる一方、好調だった商社や通信などを中心に非製造業部門が収益を伸ばしていることだ。

 製造業部門の中では、大震災やタイの洪水の影響をまともに受けた自動車メーカー各社の収益額が大きく減少した。また、ライバルである韓国・中国企業との厳しい価格競争に巻き込まれた電機メーカーが大幅な赤字に追い込まれたことなどがあり、製造業全体で前期対比20%を越える減益となった。

 それに対して非製造業部門では、世界的な資源価格上昇の追い風を受けて、商社各社が収益を拡大した。加えて、スマートフォンの販売拡大によって通信各社も収益を伸ばすなど、非製造業部門全体で前期対比約6%の増収となった。

 もう1つ目立った特徴は、同業種の中でも企業業績に格差が生じていることだ。たとえば、大手電機メーカー8社の中では、弱電中心のパナソニックやソニー、シャープが大幅赤字を余儀なくされたのに対し、重電系のプロダクト・ポートフォリオを持つ日立、東芝、三菱電機はいずれも黒字を確保している。

 大震災や洪水など、自然災害による痛手は対策が難しいこともあり、大きな生産設備を持つ製造業にとっては、仕方がない部分もあるだろう。

 しかし、今後の回復の速度などで企業間の格差が明確になることが考えられる。これから、企業の“経営力”の格差によって、優勝劣敗の傾向が一段と鮮明化するだろう。

 ビジネスモデルとは、企業がどのように業務を行ない、いかにして利益を上げるかを意味する。もう少し具体的に考えると、企業が、誰に=どのような顧客に対して、何を=どのような製品あるいは価値を提供するか。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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