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スマートフォンの理想と現実

「契約転がし」まで台頭しはじめた
摩訶不思議なケータイ料金プランが成立する理由

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第26回】 2012年5月24日
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 このところ、ケータイ料金に関するお問い合わせを、あちこちからいただく。

 わざわざ「あちこち」と銘打ったのは、この問題がケータイに関係するすべての人々にとって、大きな問題となりつつあるからだ。

 たとえば、消費者。それこそ私の両親や家族、あるいは友人・知人からも、「ケータイのことを仕事にしているなら、料金についても詳しいんでしょ?」と尋ねられることが増えている。とはいえ微細に至るところまでは把握できていないので、その旨お返事すると、ガッカリされることしきり。

 通信事業者の方からも、ご相談をいただく。料金プランやマーケティングに関することから、MVNO(※)施策、あるいはそれに係る規制動向や、海外事業者の動向など、関心は様々だ。こちらはある意味で本職の一つなので、あれこれ対応しているが、考えれば考えるほど、迷宮に入るような感覚を味わう。

1台よりも2台が安い?

 とはいえ、関心が高まっているということは、それを知りたいというモチベーションが働いているということである。消費者としては、よく調べればオトクだし、事業者にとってはそこが競争の雌雄を決めるポイントとなっている、ということだ。

 たとえば、データ通信を多く使う人であれば、1台の端末ですべてを済ませようとするより、音声通話用とデータ通信用の2契約した方が安くなる、という不思議な状況も起きている。プランと事業者の組み合わせ次第だが、前者をNTTドコモのFOMA、後者をソフトバンクモバイル(以下SBM)のiPhoneで、それぞれ安いプランを組み合わせると実現する。

 こうした組み合わせによる最適化は、この例に限ったことではない。NTTドコモ、KDDI、SBMのいずれも、顧客獲得に凌ぎを削る現在、組み合わせのパターンはいくらでも存在する。またMVNO事業者はさらにニッチなパッケージを提案している。自分の使い方と現状のプランを見直せば、日々の通信料金をより安く、しかも数十円どころではなく場合によっては月あたり1000円以上も、安くすることが可能となるだろう。

※MVNO…Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信網提供)の略。自らは通信インフラを持たず、他の事業者から借りてサービスを提供すること。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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