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ギリシャ、東電、北朝鮮
「弱者の脅し」の厄介さ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第232回】 2012年5月23日
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ぐうたらな名家の息子のよう
ギリシャの「チキン・ゲーム」

 アメリカのワシントン郊外で5月19日に行なわれたG8首脳会議では、ギリシャ問題が大きなトピックとなった。G8の参加各国はギリシャ問題に対する立場が異なるが、首脳宣言では、「ギリシャがユーロ圏に残ることへの関心を確認」と発表された。平たく言えば、ギリシャがユーロに残ってくれたら当面嬉しいということなのだが、さて、どうなるか。

 西洋哲学やオリンピックの発祥の地であり、伝統ある国とは言え、今や外国の援助抜きには、国債を償還することも、国際金融の世界に一人前の国として残ることも叶わない経済破綻国家であるギリシャが、世界の大国を振り回す。

 まるで、ぐうたらな名家の息子が「家出して、不良になってやる」と騒いで、一族を騒がせているかのようだ。自傷行為を「脅し」に用いる一種のチキン・ゲームだ。

 ギリシャ国民の立場では、どうするのが一番得なのか。「緊縮政策を採る、採らない」「ユーロに残る、ユーロを離脱する」の2組の選択肢があり、カードを出す順番とそれぞれのタイミングが問題だ。

 ギリシャ国民の利害は個々の国民の立場によって異なるだろうが、大多数の国民の利害を想像すると、外国からの援助をもらえるだけもらってから、最終的にデフォルトして、ユーロを離脱し、独自通貨に移行するのが最も得だろう。

 ただし、「そのための緊縮政策はあまり厳しく長くはしたくない」という、ムシのいい本音が付随する。ギリシャの国民はユーロの購買力は捨てたくなかろうが、独自通貨に移行して、通貨を切り下げるのでなければ、同国の経済再建は難しい。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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