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加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

福岡市の禁酒令から酒の“役割”を意識し、
自らの成長に繋げよう

加藤嘉一
【第9回】 2012年5月28日
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賛否両論が沸き起こった禁酒令

 5月22日、高島宗一郎・福岡市長はツイッターで下記のようにつぶやいた。

 高島市長が大胆に打ち出した政策に関して、全国規模で議論が沸き起こっている。議論の活性化は素晴らしいことだ。

 政策の合理性に関して(同職務命令に法的根拠はない)、賛否両論ある。「何とも言えない」という、賛否を明確にできない市民も少なくないようだ。

 禁酒令について、福岡市広聴課には22日午後4時までに164件の意見が寄せられ、賛成37件、反対64件、その他63件だったという。インターネット大手「ヤフー」の意識調査では、「妥当」約70%、「妥当でない」約28%、「その他・わからない」約3%で、支持する人が圧倒的に多かった。(「3カ月やった方がいい」「パフォーマンス」 「禁酒令」に意見、164件 /福岡県 2012/05/23 朝日新聞 朝刊 27面)

 愛飲家が多く、最近、公務員の酒に関する不祥事が起きた韓国でも「他人事ではない」と注目され、メディアも大きく報じている模様だ。

高島市長は問題に向き合った

 福岡市・県職員のお酒に関する不祥事は、誰もが「事態は深刻」と認識できる状況だった。

 これに対して、「禁酒」という対応は、多くの人々の意見にあるように、私も稚拙であると思う。「市長のパフォーマンスでしかない」という見方にも頷ける。「禁酒」というショック療法によって、福岡市周辺の外食店に及ぼす売り上げ減の影響も気がかりだ。

 しかしながら、批判に臆せず意思決定した人間を、盲目的に引きずり下ろしても、何も始まらない。最悪なのは、むしろ問題を前に見て見ぬふりをし、一切の対処策を取らないことだ。

 国際社会で「日本の政治家は意思決定ができない、しない」と揶揄されて久しい。そういうコメントを聞くたびに、私は一日本国民として悔しい思いをしてきた。特に国政レベルで意思決定が滞る傾向にあるなか、高島市長は、下記ツイッターのコメントにあるように明確な理由を持って「意思決定」をした。

 漸進な方法が良いのか、それともショック療法が適切なのか。それは次の段階の話である。国民を交えて、思いっきり議論をしながら着地点を模索すればいい。

 「荒療治だ」「根本的な解決にはならない」といった批判が見られるが、本連載「だったら、お前がやれ!!」の基本的立場にもあるように、代わりの案を示して議論するのではなく、具体的な行動も伴わない批評に社会的価値はない。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

 「だったら、お前がやれ!」
この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。もともと、この言葉は加藤嘉一氏の亡くなった父の口癖だったが、加藤氏は自らの行動規範として常に心に留めている。相手に対して意見するとき、必ず自らに問いかける。
そんな加藤氏が今、憂いているのは、日本社会にあまりにも無責任な批判、意見、論評が多いということだ。本連載では、日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示す。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る」

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