ゴーン氏逮捕の報復ともささやかれる、JOC竹田会長に対するフランス当局の予備審問開始。「質問NGの7分会見」で炎上した竹田会長に対して、ゴーン氏は意見陳述で自らの思いの丈を述べて世論から好感された。両者のスタンスの違いを分析してみよう。(ノンフィクションライター 窪田順生)
質問NGの“お経読み会見”なら
やらない方がマシだった
またしても日本の「おもてなし」の傲慢さが出てしまった。
日本オリンピック委員会(JOC)竹田恒和会長が催した「7分会見」に、あまりに世間をナメていると大ブーイングが寄せられているのだ。
フランス当局が贈収疑惑で起訴へ向けて捜査を進めている――という仏ル・モンド紙報道があってから、JOCは連休明けにすぐ会見を開くことを公表するなど「初動」は決して悪くなかった。
が、フタを開ければ、ホームページに掲載すれば事足りるような建前的な声明を朗読する“お経読み会見”で、中身も3年前に疑惑が指摘された際の釈明を繰り返すのみ。しかも、「質問NG」で、竹田会長は7分ほどで一方的にさっさと帰ってしまったことから、会場に集った100人以上の記者から怒りの声が湧き上がってしまったのである。
JOC側の説明によれば、当初は質疑応答するつもりだったが、当日未明、捜査対象になっていることで、「伝えられることだけを口頭でお伝えする」と判断し、仕方なくあのようなスタイルになったというが、この手の「危機」の対応アドバイスをしてきた立場から言わせていただくと、「判断ミス」だと言わざるをえない。
まず、こういう自分たちの内部事情をメディアに押し付ける傲慢さというのは、「味方」を減らしてしまう。わかりやすいのが、「文春砲」で「ゲス不倫」が暴かれた際のベッキーさんの会見だ。
清楚な白ブラウスに殊勝な態度でオジキをするという「作法」は満点だったが、「事実無根」「おともだちです」などど言いたいことだけ言って「質問NG」でさっさと逃げてしまったことで「火消し」にならず、文春の追撃で嘘がバレた際には、この時の塩対応が灯油のような役割となって、数ヵ月に及ぶ大炎上となってしまった。
まさしく「やらない方がよかった会見」のお手本のようなケースだが、今回の竹田会長もそれに迫るくらいの“逆効果会見”だったといえよう。