チーム運営は、どんな規模でも一筋縄ではいかない。異なるスキルや経験、物の見方を持つ者たちが集まるのだから当然であろう。にもかかわらず、チームが問題を抱えたとき、多くのリーダーやメンバーが自分以外にその原因があると信じ込んでいるのは、なぜだろうか。筆者は、チームが直面する困難を解消したければ、まず自分自身に目を向けることが重要で、3つの基本的な能力を身につけるべきだという。


 筆者は最近、同僚とともに、あるCEOが率いる経営幹部のミーティングに同席し、年間事業計画を策定するプロセスの改善に関する話し合いを、観察する機会を得た。

 10人で構成されたチームのメンバーが、現行のプロセスに関して意見を述べ合うなか、話し合いは感情的になっていった。ミーティングはかれこれ45分続いていたが、先導役は誰なのか、話し合いの目的は何なのか、よくわからない。メンバーの発するコメントは、しばしば道筋から外れ、答えはいっこうに見えてこない。

 そこで筆者らは話し合いを中断し、質問を投げかけた。この会話に、あなた自身はどう反応しているか。また、あなた自身の何が、その反応を引き起こしているのか。

 メンバーたちは一様にポカンとした顔をして、もう1回言ってくれないかと質問を聞き直してきた。自分の反応に自分自身で責任を取るよう求められるとは、夢にも思わなかったという面持ちである。もちろん、自分以外のメンバーがいかに間違っているかを尋ねているのですよね?

 筆者らは、多くのリーダーやチームメンバーから、自分のチームは(彼らの言葉をそのまま引用すると)「うまく機能していない」という趣旨の相談を受け、問題の特定、解決策の提供を求められる。

 一歩踏み込んで、チーム内の状況の詳しい説明を求めるとたいてい、あるやっかいなメンバーがいて、その人は行動を変えるべきだ、といった答えが返ってくる。また、「彼ら」(自分以外の全員)は効果的に機能する術を知らないという、あいまいな言い回しもよく耳にする。経験豊かなチーム開発の専門家である筆者らから言わせると、こうした状況のとらえ方は、的確でなければ、効果的でもない。

 チームとは、異なる志向やスキル、経験、物の見方、習慣を持つ個人により形成される、複雑なシステムである。この複雑なシステムに、有意義かつ持続的な改善をもたらす可能性を高めるためには、リーダーを含めたメンバー全員が、次の3つの基礎的な能力を身につける必要がある。内面的自己認識、外面的自己認識、そして、自分の責任を取ることである。