あああ 宮森宏和(ゴーゴーカレーグループ代表取締役)
Photo by Masato Kato

「自分もメジャーになる。そして、ニューヨークに行く」。2003年4月8日、ニューヨークヤンキースの松井秀喜が本拠地デビュー戦で放った満塁ホームランをテレビで見た宮森宏和は、一瞬で決意を固めていた。「本当に人生を変えた一発だった」。

 同じ石川県出身でほぼ同年代の松井の活躍を見た宮森は、専門学校時代にニューヨークを訪れたときの衝撃をまざまざと思い出した。「みんな世界一になることを夢見てチャレンジしている、何ともいえないエネルギッシュな空気感。それを松井のホームランが思い出させてくれた」。

 高校を卒業して地元の旅行会社で働いていた宮森は、どうすればビジネスの世界でメジャーになれるか、どうすればニューヨークに行けるかを考えに考えた。そして行き着いたのが、カレー屋だった。

 カレーは日本の国民食だが、当時チェーンで展開している企業は少なかった。また、ラーメンのように海外で知名度があるわけでもなかった。これはチャンスだ――。そうにらんだ宮森はすぐに地元の金沢で物件を探し始めたが、なかなか見つからなかった。

 そんなある日、先輩にこう言われた。「東京に行けばいいじゃないか」。宮森ははっとした。何でそんなことに気付かなかったのか。最初は金沢、次に東京、その先にニューヨークという道筋を描いていたが、初めから東京に出ればニューヨーク進出を前倒しできる。次の日には旅行会社に辞表を出していた。