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世界を巻き込む途上国ビジネス

イノベーションの担い手は誰か?
コラボレーションが生み出す可能性

中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]
【第5回】 2012年6月12日
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 前回の第4回では、シンプルなテクノロジーが、途上国の貧困層の人々の生活に様々なインパクトをもたらしていることを紹介した。そこで今回は、こうした「真のイノベーション」を生み出し、われわれの未来を変えていく担い手はいったい誰なのかについて考えてみたい。それは企業なのか、政府なのか、NPOなのか、それともその他の機関なのか――。

企業とNPOが
コラボレーションする時代

 「ハイブリッド・バリュー・チェーン」という言葉を聞いたことがあるだろうか。舌をかみそうな言葉だが、これは世界規模でソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)を育成・支援するNGO『アショカ』が提唱する、企業とNPOとのコラボレーションによる新たなビジネスモデルのこと。途上国の問題解決のひとつのアプローチとしてこのモデルが使われている。

 アショカの創設者ビル・ドレイトンは2010年9月、“ハイブリッド・バリュー・チェーン”について、米国Harvard Business Reviewに書いた論文「A New Alliance for Social Change」でインドとコロンビアの企業の例を挙げ、「貧困層向けの住宅建設ビジネスは、現地の市民団体とのパートナーシップがあったからこそ成立した」と述べている。

 市民団体やNPOの強みは現地に暮らす人たちとのつながりの強さと信頼で、企業の強みは高い専門性と財力だ。この組み合わせによりはじめて、困難な途上国の社会問題が解決できることになる。そして、このようなNPOと企業との連携が可能になったのは、NPOがより成熟し、より革新的、そしてより生産性が上がったここ最近である、とドレイトンは分析している。つまり、NPOと企業が手をつなぐ可能性は近年非常に高まっているということだ。

 コペルニクにおいても、途上国の市民団体・NPOとパートナーシップを結ぶことにより、主にベンチャー企業が開発した途上国向けのテクノロジーを、貧困層が暮らすラストマイルに普及させることを可能にしている。

現地女性のネットワークで、
企業のテクノロジーを普及させる

 インドネシアでのパートナーのひとつ『PeKKA』は女性家長が相互支援をすることを目的に作られたNPOで、インドネシアの20州で600の女性グループを組織している。このNPOは、現地の住人に認知、信頼されており、こうした現地に根ざした活動をしている団体がいるからこそ、そのエリアでのテクノロジー普及が可能になっている。

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中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

京都大学法学部卒業。英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。国連研究機関、マッキンゼー東京支社のマネジメントコンサルタントを経て、国連開発計画(UNDP)で、東ティモールやシエラレオネなどで途上国の開発支援業務に従事。アメリカ、スイスでの国連本部業務も経験し、ソマリア、ネパール、スリランカなど紛争国を主にカバーしていた。
2009年、国連在職中に米国でNPO法人コペルニクを設立。アジアやアフリカをはじめとする途上国の、援助の手すら届きにくい最貧層が暮らす地域(ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを使った製品・サービスを提供する活動を行い、貧困層の経済的自立を支援している。
2010年、2011年には、クリントン元米大統領が主催するクリントン・グローバル・イニシアティブで登壇。2011年にはテック・クランチが主催する「クランチーズ」で表彰。2012年、世界経済会議(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。また、テレビ東京系の「ガイアの夜明け」やNHKなどメディアへの露出も増加している。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘准教授も務め、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学、シンガポール大学、オックスフォード大学、東大、京大など世界の大学で講演も行っている。2012年、ダイヤモンド・オンラインに連載「世界を巻き込む途上国ビジネス」を寄稿。著書に、『世界を巻き込む。』がある。
☆中村氏twitterアカウント: toshikopernik
☆コペルニク・ジャパンfacebookページ: http://www.facebook.com/kopernikjapan


世界を巻き込む途上国ビジネス

BOPビジネスという言葉も登場し、途上国に新たなマーケットを求めて進出する企業が増えている。しかしその多くは、現地のニーズをきちんと捉えたビジネスモデルになっていないことが多い。長年、国連で途上国の開発事業に携わり、現在は自身が立ち上げたNPOコペルニクにて、シンプルなテクノロジーを途上国に届ける活動を行っている中村氏が、現地ニーズに即した途上国ビジネスについて考える。

「世界を巻き込む途上国ビジネス」

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