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逆境から生まれるイノベーション
【最終回】 2011年5月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
加藤徹生 [社団法人wia代表理事]

途上国で進化を遂げた技術が被災者を救う
太陽光発電とクラウド型ファンディングの出会い

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 岩手県では、5月6日現在でも、26,668戸が全戸停電に苦しむ。ライフラインの復旧の見通しはついてきたとはいえ、復興への道のりは長く険しい。また、原発を含めエネルギーの問題は被災者だけの問題ではない。夏のピーク電力に向けて、未だ有効な解決策は具体化されておらず、我々は新たな生き方を模索せざるをえない。

 前回の記事では、米国からの視点を通じて、寄付の効率と当事者性の問題に触れ、それを乗り越える可能性のある新たな発想として「クラウド型ファンディング」の動向を示してきた。最終回となる今回は、米国NPO法人コペルニクの挑戦を通じてクラウド型ファンディングと、彼らが被災者に届けた「ソーラーランタン」や太陽光発電の可能性を見ていこう。

被災地を照らす太陽光発電の灯り

 「皆さまから頂戴したソーラーランタンは大変好評でした。本当に素晴らしい製品ですね。懐中電灯では一点しか明るくなりませんが、これなら一つあるだけで部屋全体が明るくなります」

被災者に届いたソーラーランタン。

 宮城県石巻市や岩手県陸前高田市などライフラインに壊滅的な被害をうけた地域に、「ソーラーランタン」と呼ばれる製品が届けられた。太陽光発電のパネルを備え、一度の充電で約8時間の照光ができるこの製品は、現在途上国で爆発的にシェアを広げており、電力網が壊滅しても、電池がなくても使用可能な新たなインフラとして注目されている製品だ。

 「掲示板に吊るして、夜でもお知らせが確認できるようになりました」「夜中の炊き出しも安全にできるようになりました」「丈夫で落としても壊れない」など、感謝の声が続々と寄せられた。

 プロジェクトの手配をしたのは米国NPO法人コペルニク。New York Timesでクラウド型ファンディングの代表例として取り上げられたNPOだ。彼らはただ寄付を集めるだけではなく、「当事者が最も必要とする技術を届けることで、寄付のインパクトを増幅させる」という発想で注目されている。

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加藤徹生 [社団法人wia代表理事]

社団法人wia代表理事/経営コンサルタント。
大学卒業と同時に経営コンサルタントとして独立。以来、社会起業家の育成や支援を中心に活動する。 2009年、国内だけの活動に限界を感じ、アジア各国を旅し始める。その旅の途中、カンボジアの草の根NGO、SWDCと出会い、代表チャンタ・ヌグワンの「あきらめの悪さ」に圧倒され、事業の支援を買って出る。この経験を通して、最も厳しい環境に置かれた「問題の当事者」こそが世界を変えるようなイノベーションを生み出す原動力となっているのではないか、という着想を得、『辺境から世界を変える』を上梓。
2011年6月末より、東北の復興支援に参画。社会起業家のためのクラウドファンディングを事業とする社団法人wiaを、『辺境から世界を変える』監修者の井上氏らとともに9月に立ち上げた。
twitter : @tetsuo_kato


逆境から生まれるイノベーション

2011年3月11日。

巨大地震と大津波による壊滅的な被害によって、ほぼすべてのインフラと行政サービスが機能麻痺に陥る中、異彩を放った「新しい動き」があった。

様々なクラウド技術、ツイッターやフェイスブックなどの「ソーシャルメディア」、災害情報や支援情報を瞬時に集約した「クラウド型技術」、そして寄付市場で起こりつつある変動。

本連載では、震災という逆境の中でこれらの技術が劇的に進化を遂げる様を描き出し、そこから、日本の新たな社会像を模索していく。

「逆境から生まれるイノベーション」

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