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エコカー大戦争!

ハイブリッドレースカー、サーキットでクラッシュ――
ネガティブイメージリスクは承知のうえで
トヨタがル・マンに復帰した理由

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第116回】 2012年6月21日
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クラッシュというリスク

 「トヨタ、クラッシュ」

 日本時間2012年6月17日朝、日本のマスコミ各社が報じた。

ル・マンを走るトヨタ「TS030 HYBRID」
Photo:トヨタ・メディアサイト

 耐久自動車レースの世界最高峰、第80回ル・マン24時間(フランス、ル・マン市)のスタート5時間過ぎ、トヨタ「TS030 HYBRID」のゼッケン7号車は330km/h以上で走行中に周回遅れのマシンと接触し、宙を舞った。タイヤバリアに激突後、ドライバーのアンソニー・デビッドソンは自力でマシンから脱出。脊椎の一部負傷で全治3ヵ月と診断された。また同ゼッケン8号車はスタート10時間後にエンジントラブルでリタイヤした。

 2台のコックピット上部には、TOYOTA HYBRIDのロゴ。ボディは、全長×全幅×全高=4650mm×2000mm×1030mm。エンジンは、同レース規定でガソリン仕様の最大限である排気量3.4LをV型8気筒化した。前輪にトヨタ関連会社のアイシンAW社製の電動モーター、後輪に同デンソー社の電動モーターを装備する。

 現地時間6月17日午後3時、レース終了。

 マスコミ各社は「アウディ、ハイブリッド車で史上初のル・マン勝利」と報じた。

 アウディのマシンは「R18 e-tron クワトロ」。エンジンはディーゼル仕様の最大限の3.7LをV型6気筒化。さらにフロントに電動モーターを持ち、クワトロ(四輪駆動)とした。

 今年のル・マンは、トップカテゴリーのLMP1クラスには自動車メーカーとしてトヨタとアウディの2社のみが参戦。「ハイブリッド対決!」となった。

 そしてアウディが勝ち、トヨタは負けた。

 この結果は、十分に予想できた。なぜなら、アウディは2000年にLMP1で参戦して以来、10回も総合優勝しているからだ。また、ディーゼルレーシングエンジンは2006年から使用しており、データが十分に蓄積している。

 そのアウディに、トヨタが挑んだのだ。F1を2009年、米インディカーを2005年に撤退した同社が、あえて13年ぶりにル・マンに復帰したのだ。それもハイブリッド車を擁して。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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