ユニクロの成長を支えてきた公認会計士・安本隆晴氏に「社員1人当たりの決算書」の効果を紹介してもらいます。自社の決算書を社員1人当たりの数字に置き換えれば、経営状況がより身近なものとなり、社員の意識変革やモチベーションアップにつなげることができます。
社員に決算書を公開してみよう!
会社の1年間の成績表である決算書(財務諸表とも言います)は、社員全員が読んで理解して、初めて意味のあるものになります。
上場会社なら決算書(有価証券報告書)は誰でもすぐに無料で手に入りますが(金融庁のホームページからEDINETで検索できます)、未上場企業の場合は経営者や同族関係者以外には入手は難しいですね。
松下幸之助さんは会社がまだ創業直後の零細企業のうちから、数名の社員(店員)たちに決算書を公開していたそうです(『松下幸之助が惚れた男【評伝】高橋荒太郎』小宮和行著、ダイヤモンド社、1996年3月)。
経営状態を常にガラス張りにすることによって、社員を経営者の観点に立たせ、危機感を持たせたり、やる気を出させたりしていたのではないでしょうか。
日本の中小企業のほとんどが同族経営で、決算書を社員に公開しているところは少ないと思います。1度オープンにしてみて、経営の現状と今後の方針・経営計画について社員と一緒に徹底的に話し合ってみると、素晴らしいヒントや積極策が生まれ、社員のやる気が増すと思います。
そのときに効果を発揮するのが「1人当たり決算書」、とくに「1人当たり損益計算書」です。