「読書会」を活用して大著を攻略する

  一つは読書会に参加することです。
  正直、本書に書かれている内容は、決して難解なものではありません。
  ビジネスに携わってきた人だけでなく、おそらく高校生や大学生の教科書にしてもいいと、私は思っています。

  ただ、なにしろ2冊で908ページですので、最後まで一人で読み通すのは、なかなか厳しいものがあります。だからこそ、読書会に参加することをお勧めします。

  6人の読書会に参加すれば、一人あたりの担当ページ数は150ページですみます。そして、各人が読み終わったら、自分が読み込んだページについて語り合うのです。

  こうしたやりとりのなかで、新しい疑問点が浮かんできたり、あるいはもっと自分自身で探求してみたい箇所が見つかったりしたら、改めてそこを自分でじっくり読んでみるのです。

  このように自分だけでなく、他の人も巻き込んで読書会に参加することで、一見とっつきにくいように見える本書も、比較的たやすく読みこなしていけるはずです。

『READ FOR ACTION』という読書会サークルでは、本書も課題図書として取り上げられています。全国で読書会を積極的にやっていきますので、詳しくは下記URLを参考にしてみてください。

  二つ目に、この本をどう活用するかということですが、おそらく本書を読み進めていくうちに、次のような疑問が浮かんでくる方もいらっしゃると思います。

「確かにすぐれた本だとは思うけれども、結局は米国のマーケティングの事例を研究したものだよね。このまま日本の事例に当てはめられるようなことは書いていないのかな……」

  このように考えた人は、これ以上、読む必要はありません。
  ちょっと手厳しいことを言うようですが、仮に本書の中に、日本でも当てはまる事例が書かれていたとしたら、それはもうすでに多くの人たちの手によって行われているものですから、それと同じことを実行に移したとしても、まったく効果は表れないでしょう。

  大事なことは、本書に書かれている事例の中から、まだ日本では実行されていないものを見つけて、日本だったらどのように活用できるのかを考えることです。

  そうして初めて付加価値が生まれてきます。
「米国の事例だから日本では通用しないよね」ではなく、
「日本で行われていないものを、日本的に行おうとしたら、どうすればいいのか」
  を考えるのです。

  これは、ビジネス書を読むときの大事なポイントとも重なるので、あえて最後につけ加えておきますが、本に書かれていることをそのままマネしても、決してうまくいきません。
「日本で行われていないものを、日本的に行おうとしたら、どうすればいいのか」をきちっと押さえて読めば、本書は宝の山です。

  これからビジネスの第一線で活躍される人たちにとっては、必需品になるはずです。まずは本書を手に取り、ページをめくってみてください。


 【関連サイト】
READ FOR ACTION読書会


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神田昌典(かんだ・まさのり)
経営コンサルタント。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本一のマーケッター」に選出。著書に、『全脳思考』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『あなたの悩みが世界を救う! 』『成功者の告白』『人生の旋律』『非常識な成功法則』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』等がある。