5.地方の小規模自治体では、生活保護費が自治体財政を圧迫している。

<解説>
基本的に、生活保護費は自治体財政を圧迫しない。そのように制度設計が行われているからである。

「でも、大阪市のような例もあるではないか?」と疑問を持たれる読者も多いであろう。

 大阪市の2011年財政報告によれば、歳出のうち生活保護費は2910億円にのぼったという。同年の大阪市の市税収入は6260億円。この他に地方交付税480億円・市債による収入1452億円があるけれども、それらを合計しても収入は8192億円。収入の約36%が生活保護費として支出されているわけである。しかし、これはほぼ、大阪市の特殊事情と考えてよい。

 自治体財政の歳出項目でいう「生活保護費」のうち、受給者に給付される「扶助費」は93%。残りは福祉事務所職員の人件費等である。扶助費の75%は国庫負担金から拠出されるため、各自治体では、扶助費の25%と人件費等を負担すればよい。

 小規模自治体・赤字自治体では、税収が足りない分、地方交付税の分配を多く受けることになる。失業率が高く税収が充分に得られない地方自治体で、生活保護受給者が一人増えた場合には、その人が受給する金額とほぼ同額だけ、地方交付税の分配額が増加する。ここで「ケースワーカーを充分な人数だけ配置しない」「福祉事務所職員を非正規雇用にする」などの手段で人件費を圧縮すれば、その自治体はむしろ、「生活保護受給者が増加するほど収入が増える」ということになる。 

 ただし、中規模都市・生活保護受給者の多い大都市の場合には、地方交付税の分配が不十分なため、生活保護受給者の増加が財政を圧迫することになる。大阪市の例は、その最も極端な例と言える。

 問題は、地方交付税の算定方法が現状に対して適切ではないことにあるといえよう。

(参考:「生活保護「改革」ここが焦点だ!」あけび書房)