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金融市場異論百出

日銀当座預金は過去最高でも
マネーが市中に流れないワケ

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年7月4日
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 金融機関が日銀の口座に預けている資金の合計額(日銀当座預金残高)が6月26日に過去最高の43.5兆円を記録した。国庫の季節要因(年金支払いや国債償還など)も増加に影響しているが、基本的には日銀の金融市場に対する巨額の資金供給が累積したことが残高の押し上げにつながっている。

 金融機関が日銀当座預金に預けなければならない法定準備預金は7.5兆円程度なので、金融機関は凄まじい額の余剰資金を日銀に預けていることになる。しかし、そのお金は単に日銀の口座に眠っているだけである。

 似た現象は、米国、英国、欧州でも起きている。現代の銀行はさまざまなリスク管理の規制に縛られている。中央銀行に預けている準備預金が増大しても、銀行が企業や個人への貸し出しを増やせるわけではない。経済学の教科書によく出ていた「準備預金が増えたら銀行は貸し出しを伸ばし、マネーサプライが増加する」という説明は現代にはそぐわない。外為市場では「日銀当座預金が増えると円安になる」といわれるが、実際はマネーは流れていない。

 日銀当座預金に影響を与える国庫や日銀券の動きが仮に昨年並みに推移すれば、日銀の資金供給は今後も増えていくため、日銀当座預金は来年6月末には50兆~60兆円へ達する可能性がある。ただし、その試算は、金融機関が日銀の資金供給を拒まないケース、つまりオペに「札割れ」が発生しないケースが前提だ。実際には多くの銀行は手元流動性をそんなに高めなくてもよいため札割れが多発、結果的に日銀当座預金はさほど増えないかもしれない。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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