にもかかわらずテレビ局は現時点でも、吉本の芸人を番組に起用し続けているばかりか、闇営業問題を取り上げた番組でコメントまでさせている。芸人やキャスターが反社の問題に切り込むことはなく、「パワハラ体質の吉本と芸人との間の感情的な内輪もめ」に議論を終始させています。これは恣意的なストーリー作りとちゃうのん、と僕は思う。

 テレビ局にとって、吉本は安価な芸人の供給源であり、これを抜きにしては日々の番組が成り立たない。完全に吉本に依存しているわけです。同じようにテレビ局が依存する対象としてジャニーズ事務所があります。先日、ジャニー喜多川氏が亡くなった際にはほとんど報道統制が敷かれたような状態で、過去の色んなスキャンダルは一切触れられない異様さだった。でもジャニーズにまだ救いがあるのは、あの会社は反社に対してはびっくりするぐらい潔癖ということ。非常に守りが堅く、僕らがアプローチしても一切受け入れなかった。ここは吉本と根本的に違う。吉本と密接なテレビ局各社は少なくとも、問題に対してどういう姿勢で臨むのか公式見解を示すべきだが、そういう動きは今のところ皆無。

テレビ局は株主の責任果たせ
さもなくば共犯者の誹り受ける

 結局今回の問題では誰も、「やるべきこと」をやっていない。宮迫氏ら芸人は問題が発覚した時点で、「お金をもらいました」と正直に吉本に報告するべきだった。そうすれば謝罪会見が開かれ、番組を降板して謹慎するぐらいで済んだんじゃないの。

 吉本の経営陣は、芸人との間で業務内容を明文化する契約を結び、その中で反社との取り引きを禁ずる条項を盛り込まなければならない。それがない限り、反社チェックなんて不可能でしょう。芸人と反社の関係を見て見ぬ振りしているようなもんですよ。

 そしてテレビ局は、株主として吉本の行動をきちんと監視し、議決権行使などの形で是正を求めるべき。「明確な対策を講じない限り、おたくの芸人・タレントは起用しません」と通告し、さもなくば資本提携を解消すると言うべき。銀行や一般企業など、吉本の他の株主は早晩そういう行動を取るでしょうね。そういう中で、テレビ局だけが厳正に対処せず、番組でも芸人を起用し続けたなら、それはもう彼らも問題の共犯者としてアウトやね。