ウォルマート、フェイスブック、スターバックス……ここ数年、自社内に「イノベーションラボ」を設置する企業が増えている。クリエイティブな挑戦を推奨する環境づくりは、すばらしいことである。ただし残念ながら、多くのラボがその本来の目的を果たせていない。筆者の調査により、イノベーションラボが失敗する3つの理由が判明した。


 ウォルマート、フェイスブック、ロッキードマーチンの共通点は何だろうか。3社とも最近、豪華なイノベーションラボを初公開した。

 アクセラレータ、ビジネスインキュベーター、リサーチハブなど、さまざまな名称で呼ばれるこの種のラボは、私が調べたところ数が増えている。金融サービス企業の半数以上が独自のクリエイティブスペースをつくっており、ヘルスケアや小売業界でイノベーションラボを一つも持っていない会社を見つけるのは難しい。

 ただしその中身は、ポストイットが貼り出せる会議室一部屋の場合もあれば、1800平米のインキュベーションスペースの場合もある。後者は、スターバックスが昨年11月に設立した。

 これはすばらしいことだと、一般的には言えるだろう。イノベーションラボがあれば、企業は安心して実験やプロジェクトの再検討ができ、こだわりの強い企業や法規制の厳しい業界にとっては重要な投資でもある。

 だが、こうしたラボは、実際に付加価値を生み出し、企業の成長に結びついているのだろうか。コンサルティング会社のキャップジェミニの調査報告によれば、イノベーションラボの大多数(ある専門家によれば90%)が目的を果たせていないという。

 拙著Disrupt-It-Yourself(未訳)のために私が行った広範な調査や、多方面にわたる大手企業の顧問業務を通じて、多くのラボが成功していないのには3つ理由があることがわかった。以下に、企業が注意すべき点を挙げる。