東電らが挑む「仮想発電所」は新旧電力バトルロイヤルの最後の砦

大手電力会社がこぞって、太陽光や風力、電気自動車や蓄電池といった分散型エネルギーを束ねて電力需給を調整する「仮想発電所」の開発に取り組んでいる。その真の狙いとは?(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

“大穴”東北電力が
欧州最大手を射止めた

 東北電力の岡信愼一副社長は2018年10月、日本から9000キロメートル離れたドイツ西部の都市、ケルンに赴いていた。それは新たなテクノロジーを求める旅だった。

 お目当てはバーチャル・パワー・プラント(VPP)なるもの。VPPは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用して太陽光発電や蓄電池などの分散型エネルギーを束ねて周波数や電力需給を調整する。さまざまな発電設備や使用者側の蓄電機器などを制御して、まるで1つの発電所のように機能することから「仮想発電所」と呼ばれる。

 主に大手電力会社が務めるアグリゲーターと呼ばれる“司令塔”は、電力需給が逼迫したり緩んだりした際、分散型エネルギーに充放電の指令を飛ばす役割を担っている。