ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
口紅は男に売り込め!―有名ブランド再生人の非常識な3原則―
【3回目】 2012年7月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
高倉 豊 [前ウブロ・ジャパン代表取締役]

売れていない現場に答えはない!
業績回復に必要なのは、「目先」ではなく「本質」

1
nextpage

 「現場に答えがある」。一般的には、こう思われている方が多いでしょう。もちろん、技術革新や商品開発に携わる方であれば、ユーザーの声は聞いたほうがいい。ですが、ブランドビジネスの場合は別です。特に「売れていない現場」は参考にしないほうがいいでしょう。そこに、会社を再生させるような画期的な答えはないからです。
  連載第3回では、現場の声を聞かないことで成功した、イヴ・サンローラン・パルファンでの事例をご紹介します。

売れていない現場に、答えはない!

 「現場には答えはない!」と言い切っているので、
皆さんから、
「先入観に囚われないためにライバルを見ないのは分かるけど、現場というのは、自社の大切な手持ちの材料じゃないか!
という声が聞こえてきそうです。

 もちろん、技術革新や商品開発の場合であれば、商品が使われている現場を見ることは不可欠でしょう。
  ですが、ブランドビジネスにおける販売現場の場合は別。
  とりわけブランドが低迷しており、革新的な戦略を打ち出して会社を再生しなくてはならない場合は、現場を見ないほうがいいと思います。

  なぜなら、売上が低迷している時というのは、現場には停滞ムードしかないからです。そんな時には、ポジティブな意見はほとんど上がってきません。

 さらに言えば、「現場の希望」と「ブランドの希望」というのは、一致しないことが多いものです。

 現場は目の前の売上アップのための販促を求めてきますが、ブランドとしてはもっと本質的な視点から考えなくてはなりません。

 現場からいい意見が出てこないとは言いませんが、皆が一様に「現場を見なければ始まらない」と主張するのはおかしい。『口紅は男に売り込め!』の中でも触れた「定説を疑え」の発想と同じです。

サンプルは、「渋谷西武」のみ。「男性限定」で配布

 では、現場を見ないことで実績を出した例を、ここでご紹介しましょう。

 ブランド再生の場合、まず話題を作って勢いをつけることが大事です。
新企画の立ち上げの場合も同じ。

 最初のエンジンをかける時に一番エネルギーが必要ですから、ここで一気に初速を上げることができればしめたもの。

 ブランドの「売れている感」をうまく演出できれば、後は徐々にスピードを上げていけばいいのです。この場合も、目先の売上を重視しがちな現場に囚わ
れすぎると、思い切ったアイデアはでてきません。

 ある時サンローランで、「ルージュピュール」というプレミアムラインの新しい口紅が発売されることになりました。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳

定価(税込):本体1,600円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
子どもの豊かな心を育て、頭と体を伸ばしていくために親が知っておきたいことについて、最新の科学研究をもとに「最も信頼」できて「最も実行しやすい」アドバイスだけを厳選して詰め込んだ貴重な本。子にかけるべき言葉、睡眠、トイレトレーニング、遊び、しつけまで、これ一冊さえ持っていれば大丈夫という決定版の1冊!

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


高倉 豊(たかくら・ゆたか) [前ウブロ・ジャパン代表取締役]

1948年、兵庫県生まれ。自由学園男子最高学部を卒業後、1970年に博報堂に入社。入社5年目から、中東&欧州に計11年間に滞在。39歳で博報堂を退社。
翌年40歳の時、未経験業界の外資系高級化粧品メーカー、パルファム・ジバンシイの日本法人トップに抜擢される。以降、イヴ・サンローラン・パルファンやシスレーの日本法人、外資系高級時計メーカーのタグホイヤーやウブロの日本法人、計5社の外資トップを20年間務める。その間、次々と自社の業績を回復させ、「ブランド再生人」として業界で評判を呼ぶ。
輸入フレグランスの販売高で1994年に1位となった「プチサンボン」を 送り出し、ライトフレグランス市場をつくる。最後に就任したウブロでは、5年間で売上を3倍にし、憧れの時計ブランドへと成長させる。2011年6月末、ウブロ社長を辞任。現在は、ブランド再生アドバイザーとして活躍するかたわら、執筆・講演活動を行っている。本書が初の著書となる。


口紅は男に売り込め!―有名ブランド再生人の非常識な3原則―

たとえば、口紅の色数が少なく、広告予算もなく、スタッフも4人という状態で、「売ってこい!」と上司に言われたらどうしますか? 本連載の著者、高倉氏が考えたのは、「ネーム入り口紅を、女性へのギフトとして男性に売る」という戦略でした。結果は大成功! ブランド名を一気に知らしめるヒット商品になりました。どんなに厳しい条件の中でも解決策を探すために、高倉氏が実践してきた3つの考え方を、本連載では紹介します。

「口紅は男に売り込め!―有名ブランド再生人の非常識な3原則―」

⇒バックナンバー一覧